京都市議会 > 2012-10-01 >
10月01日-03号

  • "環境省"(/)
ツイート シェア
  1. 京都市議会 2012-10-01
    10月01日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成24年  9月 定例会(第4回)       平成24年第4回                 京都市会会議録 第3号       (定例会)                    平成24年10月1日(月曜日)出席議員(69名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 大西 均議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  17番 島本京司議員  18番 椋田隆知議員  19番 桜井泰広議員  20番 下村あきら議員  21番 宮田えりこ議員  22番 加藤あい議員  23番 西村善美議員  24番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  30番 中野洋一議員  31番 隠塚 功議員  32番 山元あき議員  33番 西村義直議員  34番 吉井あきら議員  35番 田中明秀議員  36番 山本恵一議員  37番 西野さち子議員  38番 玉本なるみ議員  39番 くらた共子議員  40番 河合ようこ議員  41番 樋口英明議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 中川一雄議員  52番 寺田一博議員  53番 津田大三議員  54番 田中英之議員  55番 中村三之助議員  56番 橋村芳和議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 北山ただお議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 井上けんじ議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 小林正明議員  67番 加藤盛司議員  68番 繁 隆夫議員  69番 富 きくお議員  70番 内海貴夫議員  71番 井上与一郎議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成24年10月1日(月)午前10時   一般質問 (1) 市政一般について  井上与一郎議員 (2) 市政一般について  中川一雄議員 (3) 市政一般について  田中明秀議員 (4) 市政一般について  吉井あきら議員 (5) 市政一般について  加藤あい議員 (6) 市政一般について  西村善美議員 (7) 市政一般について  とがし 豊議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開会〕 ○議長(大西均) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。天方浩之議員中島拓哉議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました陳情1件はお手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,井上与一郎議員。 〔井上与一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(井上与一郎議員) 右京区選出の井上与一郎でございます。本日は,自民党市会議員団を代表いたしまして私と中川一雄議員田中明秀議員,そして吉井あきら議員の4名が質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 先月の9月26日,我が自由民主党では,新しい総裁として安倍晋三衆議院議員が選出されました。3年前,自民党は野党に転落して以来,今日まで大変苦難の道を歩んでまいりました。谷垣禎一前総裁は,この道を自民党のリーダーとして色々な方策を模索し,今日まで自民党の牽引役として御尽力を賜りました。今日まで大変御労苦があったことと推察いたしますとともに心から敬意を表し,御礼申し上げます。我々の国,日本はこの3年間,内政,外交両面で数々の国益を損ない続けてきました。現在の我が国が置かれた状況は,ますます厳しさを増しており,一刻も早い国家の立て直しを迫られております。我が党は,日本を取り戻すために安倍新総裁の下に一致結束し,来るべき総選挙で勝利し,政権奪還を果たさなければなりません。日本を取り戻すためには,我々地方議員も全力で取り組んでいくことを決意いたしております。 さて,今市会に上程されております平成23年度の決算の評価と今後の財政運営についてお聞きしたいと思います。過日,市長は,記者会見でこの平成23年度決算の速報値を発表されました。その際,「今回の決算の一番のポイントは,全会計の連結実質収支で赤字を解消したことだ」と言っておられました。私もそう思います。振り返ってみますと,門川市長の就任当初は地下鉄事業の巨額の赤字が重くのし掛かっておりました。京都市の地下鉄は,他都市に比べて建設時期が遅くバブル期に重なってしまったことなどから,全国一厳しい経営をせざるを得ない状況でありました。そして,夕張市が財政破たんしたことから,地方公共団体に財政健全化法というものが施行され,地下鉄などの公営企業も含めた連結ベースで財政状況を判断することとなりました。地下鉄だけでなく,市バス事業も,経営状況が改善しつつあったとはいえ,まだまだ多額の赤字を抱えており,国民健康保険も同様の状態でありました。この結果,京都市は,平成19年度の連結決算で,政令指定都市で唯一の赤字,それも373億円もの巨額の赤字を計上することとなりました。そのうえ,翌年の平成20年度には,リーマンショックの影響で,一般会計も過去最大の30億円もの赤字を出すという深刻な事態に見舞われました。正にどん底の状態に陥ったわけでありますが,そこから立ち直り,今回の決算では,一般会計の実質収支は2年連続で黒字となり,連結決算では初の黒字を達成することができました。 しかしながら,決算で赤字を解消したということを市民の皆様がお聞きになりますと,「財政状況が好転した」,「危機を脱した」という風に受け止められがちであります。しかし,果たしてそういう風に受け止められても良いのでしょうか。経済情勢はまだまだ厳しいものがあり,今後も税収の見通しは決して楽観できる状況にはありません。また,国から配分される地方交付税も,国自体が税収よりも国債の方が多いというひっ迫した財政事情にある中で,決して伸びを期待するわけにはまいりません。こうして収入が増える見込みが立たない一方で,何よりもかつてないスピードで少子高齢化が進み,社会福祉のために必要な経費が年々増えていくことは,火を見るよりも明らかであります。赤字決算を脱したとは言っても,市の財政を取り巻く状況は決して良くなっているわけではなく,むしろ一層厳しくなっているのではないかと思います。私は,決算が改善した今こそ,市の財政の窮状を市民の皆様に正しくお伝えする必要があると思います。 昨年度末に発表された「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画の中では,職員数の大幅な削減や公共事業の縮減,市有地の積極的な売却,事務事業の見直しなど,更なる財政健全化のための精一杯の努力を積み重ねたとしても,なお毎年100億円の財源が不足し,行政改革推進債という特別な市債の発行や,市債返済のために積み立てている公債償還基金の取崩しといった特別の財源対策が必要だとされております。今回の平成23年度決算も,黒字になったとはいえ,全職員の給与カット,我々市会議員の給与カットなどと行政改革推進債の発行という特別の財源対策を行ったうえでのことであります。こうした特別な市債を発行したり,市債返済のための基金を取り崩して使ったりするということは,言わば将来の世代に負担を先送りしているということになります。したがって,なるべく早くこのような状態を脱しなければなりません。そこでお尋ねいたします。まず,この度の決算の結果について,市長の評価と思いをお伺いしたいと思います。そのうえで,これから来年度の予算編成に向けた作業も進められていくことと思いますが,改めてこの機会に,市の財政の現状と今後の見通しについて分かりやすく御説明いただき,更なる財政改革に向けた市長の決意をお伺いいたします。 次に,森林環境税についてお尋ねします。本市における森林は,市域面積の約4分の3を占め,地球環境や生物多様性の保全,景観の維持,水源の涵養,土砂災害の防止など,森林の持つ公益的な機能によって,私たちは安らぎのある快適な生活を送っております。特に市街地周辺を取り巻く京都三山は,1200年の悠久の歴史を持つ美しい古都京都の原点であるといっても過言ではありません。京都市民にとって心のより所であり,京都人の暮らしと密接に結び付いております。しかしながら,林業経営の不振が長期化し,林業労働者の高齢化や後継者不足が進み,さらに,伐採時期を迎えた森林の手入れが十分に行き届かず放置され,森林の公益的機能が低下し,森林災害の危険性が高まっております。また里山林でも森林が放置され,景観の悪化が進んでおります。特に三山は,松枯れ,ナラ枯れやシカの食害が増え,以前は健全に保たれてきた森林が再生されず,急速にその姿を変えつつあります。これら手入れが行き届かなくなり放置された森林の増加と,近年のゲリラ豪雨による土砂災害の発生とが深く結び付いているのではないかと,豪雨に見舞われる度に感じております。このことから,森林の持つ様々な公益的機能の重要性を改めて認識しているところであります。 本市では,限られた予算の中で,従来の林業施策に加え,京都の景観や環境を守るため「京都市三山森林景観保全再生ガイドライン」の策定や,昨年度から「四季・彩りの森復活プロジェクト」の取組などを進めておられ,さらに,その取組を行政だけで実施するのではなく,企業や市民の皆さんにも資金面においても御協力いただく「京都みどりプロジェクト」を立ち上げられました。しかしながら,健全な森林,林業によってもたらされる京都の景観や環境を守るためには,長い年月と各種施策の更なる拡充が必要であり,まだまだ取り組むべき課題が山積みとなっております。 そこで,これらの課題を解決するためには,安定した財源を確保し,脆弱な本市の財政基盤を強化することが重要になります。本市では,行財政局を中心に,新たな財源としての森林環境税導入に向けた森林等保全施策在り方検討プロジェクトチームが平成20年8月に庁内に設置されました。プロジェクトチームでは,森林保全,景観保全,都市緑化の三つの観点から山紫水明の京都を守り続ける森づくりや里山づくりなど具体的な施策が提案され,平成21年10月に一定の検討結果が報告されました。この森林環境税は,平成15年度に導入した高知県を皮切りに,47都道府県中33県で導入されております。近畿では滋賀県,兵庫県,奈良県,和歌山県でも導入され,森林や里山の整備,間伐材の搬出支援,緑地環境の保全などに広く活用されております。特に兵庫県では,平成18年に森林環境税を「県民緑税」という名称で導入され,その税で災害に強い森づくりや,環境の改善,防災性の向上を目的とした都市の緑化などを進め,その取組に大きな効果があったために,課税期間が延長されたと聞いております。また,同じ政令市の横浜市では,「横浜みどり税」として平成21年度から樹林地や農地を守り,都市に緑を作る施策のために導入されております。 こうした中,平成24年1月の市長マニフェストで,「二酸化炭素吸収源対策としての森林保全を目的とした森林環境税の導入について府市で協議を進める」としておられます。また,平成24年3月の「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画でも,「財政の自主性,安定性を高め,足腰の強い財政を確立するための具体的な取組の一つとして,課税自主権を活用した森林環境税の導入を検討する」とされております。私は,森林環境税の導入が脆弱な本市の財政基盤を強化するための有効な手段の一つではないかと考えております。そこで,課税自主権を活用した森林環境税の検討状況と,制度化に向けた見通しについて,市長の御所見をお伺いいたします。 次に,関西広域連合の取組と京都市のかかわりについてお伺いいたします。関西広域連合の成り立ちにつきまして改めて簡単に申し上げますと,平成22年12月に中央集権体制と東京一極集中を打破し,地域自己決定,自己責任を貫ける分権型社会を実現するために,広域観光,文化振興,広域産業振興,そして広域環境保全と広域防災,広域医療などの広域的な事業の責任主体となることや,国の出先機関の受け皿となることを目的として,関西圏の2府5県,すなわち滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,和歌山県,鳥取県,徳島県によって設立されたものであります。その後,関西広域連合の圏域,エリアにある4政令市,すなわち大阪市,堺市,京都市,神戸市も全て加入いたしました。本市では,5月定例会におきまして関西広域連合への加入が可決され,その後8月17日の臨時会におきまして,議員皆様の御推挙で私を本市からの初めての関西広域連合議会議員に選出していただきました。議員選出直後の8月23日に,関西広域連合議会の8月定例会が鳥取県議会の議場にて開催されました。圏域の4政令市すべてがそろった最初の本会議でありました。門川市長も本部委員として初めて出席されました。 この本会議で私は一般質問の機会を頂き,質問をさせていただきました。すなわち「東京圏と異なり関西圏は,いずれの地域も長年にわたる歴史,伝統と個性豊かな地域特性を有しており,各地域とも地域の住民が主役となって活力を支え,それらが切磋琢磨して競い合い,成長してきた。しかし,現状を打破し東京圏に勝つには,競い合うことに加えて協力,連携ということも必要である。そのためには,関西広域連合の構成府県だけでなく政令市が相互に連携し,協力していく必要がある」と申し上げたうえで,4政令市が加入した関西広域連合の今後の事業展開と4政令市加入の意義とその役割,特に京都市加入の意義について質問をいたしました。私の質問に対しては,兵庫県知事である井戸敏三連合長と門川大作委員から答弁をいただきました。 関西広域連合の門川委員としての答弁はそのときにお尋ねしていますので,本日は同じ質問をいたしません。あくまでも京都市会議員として,京都市長の門川市長にお伺いしたいと思っております。広域的な行政も担いながら,基礎自治体としての役割も果たす政令市の本市が,関西広域連合の今後の取組について具体的にどのように関わっていくのか。また,その関わりをどのようにして京都市の発展,そして,市民のために確実につなげていくのかについてであります。具体的な事例を申し上げますと,先日徳島県で開かれました関西広域連合議会防災医療常任委員会で,広域医療の取組としてドクターヘリを活用した広域救急医療体制の充実に関して質疑やドクターヘリの視察が行われました。ドクターヘリは,救急現場に医師や看護師を迅速に送り込み,いち早く救命医療を行うことを目的としており,費用負担や医師等の確保,ヘリポートの不足など課題があるものの,人々の命を守り,人々が安心して暮らすことができる社会の実現に大きな意義があるものであります。 一例を挙げますと,今年の4月23日に,亀岡市で通学中の子供さんや保護者の方が無免許運転の少年が運転する車にはねられて死傷するという大変痛ましい事件が起きました。その際,兵庫県豊岡病院のドクターヘリと阪大病院のドクターヘリの2機が連携して対応されました。また,京都市消防局の消防ヘリも,南丹市内の病院に搬送された負傷者の方を京都市内の病院に運ぶために出動されたのであります。命を救うために懸命に奮闘されました多くの関係者の皆さんに頭が下がる思いであります。関西広域連合の管内で運航しているドクターヘリは,これら2機のほか,和歌山県立医科大学付属病院ドクターヘリと,間もなく運航開始されます徳島県立中央病院ドクターヘリの合計4機があります。なお,ドクターヘリ空白地域でありました本市を含む京都府南部地域が,本日から阪大病院のドクターヘリの運航範囲に入ることとなりました。そもそもドクターヘリ事業は府県の事務であり,本市が所管する事業ではありません。しかしながら,この事件の場合のように,ドクターヘリと政令市や府県が保有する消防防災ヘリとの連携は,広域救急医療体制の整備,充実にとって有益なものであると思います。 そこで,私は,先の委員会におきまして,徳島県知事である飯泉委員に御所見を伺いましたところ,「ドクターヘリだけで広域救急医療をカバーできるものではないので,防災消防ヘリとの連携を検討していきたい。そして,そのためには,構成府県市とその議会の御理解をお願いしたい」とのお答えをいただきました。さらに,ドクターヘリは,夜間航行ができず,それが関西広域連合でも議論されております。本市には誇るべき24時間航行の消防ヘリがあります。飯泉委員は,そのことも十分承知されており,「連携の可能性をしっかりと詰めさせていただく」とのお答えをいただきました。広域救急医療体制の整備,充実は,圏域の多くの住民の皆様にとって,そして当然ながら,京都市民の皆様にとっても大いに歓迎すべきことであり,京都市をはじめ構成府県市がそれぞれ積極的に関わることで,より優れたものになることは容易に想像することができます。これは,一つの事業の例でありますが,今後,こうした連携,関わりにより,関西の発展ひいては京都市の発展を目指していくべきであり,そうすることが結果として市民のためになると考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。 次に,嵯峨・嵐山地区への自動車流入についての抜本的な抑制策の実施についてお伺いします。四季折々の彩りを見せる山紫水明の自然景観と,世界遺産の天龍寺をはじめとする数多くの名所旧跡が相まって,趣のある風情を醸し出す嵯峨・嵐山地区は,年間入洛観光客の6人に1人が訪れる,京都を代表する観光地であります。観光シーズンには,渡月橋に連なる長辻通では歩行者が歩道からあふれるほどのにぎわいをみせる一方,歩行者と車が錯綜し,危険な状況が生じるとともに,周辺道路では車の集中による交通渋滞が発生し,市民生活に深刻な影響を及ぼしていました。 京都市では,こうした嵯峨・嵐山地区での交通問題の解決を図るため,平成13年度に地元住民,商店街の代表者や保勝会をはじめ,交通事業者,交通管理者,道路管理者など関係者が一同に集まって嵐山交通対策研究会を立ち上げ,今日まで12年間にわたり交通対策に取り組んでこられました。これまでに公共交通を利用してもらうために積極的なPRや近隣自治体と連携した広域的なパークアンドライドの積極的な展開と,市営嵐山観光駐車場での観光バスの予約制の実施や,長辻通を歩行者専用道路とすることや,渡月橋から嵯峨街道までを南行一方通行にすることなどの臨時交通規制を関係機関との連携の下,取り組まれたことにより,歩行者の安全性は大きく改善されてきました。 しかしながら,今でも普段なら車で5分も掛からないで行ける松尾橋から渡月橋までが2時間以上も掛かり,三条通や嵯峨街道でも嵯峨・嵐山地区に至る道路での交通渋滞は依然として解消されておりません。今日までパークアンドライドをはじめ色々と対策を講じてこられましたが,もう限界に達しているのではないかと思います。こうした状況に業を煮やし,過日,地元の嵯峨自治会連合会から,行楽シーズンにおける罧原堤の交通渋滞に対する抜本的な対策の実施を求める要望が右京区長に提出されました。パークアンドライドをより広く考えて,例えば,名神高速南インターからの入洛客には,インターチェンジの近くに大駐車場を設けて,そこで車を駐車していただき,公共のシャトルバスで観光地へ来ていただくということなど抜本的な対策を講じる段階に来ているのではないでしょうか。 また,門川市長は,市長就任以来,人と公共交通優先の「歩くまち・京都」の実現を市政の最重要政策に位置付け,平成22年1月に「歩くまち・京都」総合交通戦略を策定し,その戦略に掲げられた88の実施プロジェクトを着々と推進してこられました。昨年の門川市政2期目のスタートに当たり,「はばたけ未来へ!京プラン」を策定し,そこには,「歩いて楽しいまち・京都戦略」の取組として,「車の市内への流入を抑制するため,混雑する道路への課金制度,いわゆるロードプライシングの導入に向けた社会実験の実施」が掲げられています。ロードプライシングは,ロンドンやシンガポールなどの海外の都市で導入されており,渋滞解消に大きな効果を上げていると聞いております。 しかし,我が国では道路法という法律があり,高速道路などを除き,道路の通行に際して料金を徴収することが認められていないという導入に当たっての大きな課題があります。また,ロードプライシングが及ぼす地域経済への影響の検証や,市民,商業者など関係者との合意も必要ですし,体に障害のある方やベビーカーを利用されている方など,車に頼らざるを得ない方々への配慮も重要となります。このように,導入に当たっては法律の改正など大きな課題が山積するロードプライシングでありますが,観光シーズンの車の状況を見ますと,人と公共交通優先の「歩くまち・京都」の実現のためには,自動車流入抑制策も選択肢の一つとなるのではないかと考えます。幸いにして,嵯峨・嵐山地区へのアクセスとしては,JR,阪急,京福の各鉄道と,市バス,京都バスの路線バスもあり,公共交通は充実しています。また定期観光バスも運行しています。さらに地元住民の皆様,商店街の方々と交通事業者,京都府警察等,関係機関が連携して取り組んでこられたこれまでの交通対策の蓄積があります。私は,ロードプライシングの社会実験を実施されるのでしたら,観光シーズンにおける嵯峨・嵐山地区がより良い地域であると思いますが,市長の御所見をお伺いいたします。 以上で,私の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上与一郎議員の御質問にお答えいたします。 まず財政改革に向けた決意についてでございます。井上議員御指摘のとおり,私が市長に就任した当初,リーマンショックに端を発した100年に一度と言われる金融経済危機の激流に襲われ,大幅な税収減により一般会計において,平成20年度決算で過去最大の30億円もの赤字となるなど極めて深刻な事態に陥りました。また,地下鉄事業におきましては,全国で唯一現金収支の赤字が続いている状況であり,経常収支も,平成18年度決算で1日当たり4,600万円もの赤字が生じるなど,その経営健全化が最も重い課題の一つでございました。こうした事態を脱するため,職員数の大幅な削減,私が市長に就任したとき,京都市職員数は1万6,153人でした。この4月1日には1万3,702人となり,大幅に削減しております。また,あらゆる事務事業の徹底した見直しなど,市役所一丸となった行財政改革を推進してまいりました。また,地下鉄事業におきましても,市会の御議決を得て策定いたしました経営健全化計画に基づきまして,人員削減など効率化を進めるとともに市民の皆様の御理解の下,増収増客に取り組んだ結果,現金収支を黒字化してまいりました。平成23年度決算は,そうした市の総力を挙げた努力と市民の皆様の御協力の結果,実現したものであります。ようやく財政健全化のスタートラインに立つことができたと実感しております。しかし,長引く景気低迷の一方で,少子高齢化は急速に進展しており,本市財政が決して危機を脱したわけではないというのは,まさに井上議員御指摘のとおりでございます。また,地下鉄事業についても,経常収支の赤字を5年前から6割削減したとはいえ,23年度決算においてなお1日当たりの赤字が1,800万円にも上っており,経営健全化の道筋は長く険しいものであります。ここで,20年前と比較して京都市の財政構造の変化を一つの例を挙げて具体的に説明いたします。(パネルを示す)パネルをごらんください。平成3年度においては市税収入は2,583億円で,社会福祉関係経費はその約3分の1程度の926億円でございました。それが24年度当初予算では,市税収入が2,388億円と200億円減少する一方で,社会福祉関係経費は2,327億円と,2.5倍にまで増加しております。この社会福祉関係経費には,国の補助金等も含んでおりますが,社会福祉関係経費の規模が市税収入とほぼ同額となっております。我が国を取り巻く社会経済情勢等を踏まえますと,今後,税収が大きく増加するという傾向が続くことは余り考えられず,こうした傾向が続くことは確実であります。 一方,社会福祉関係経費は,毎年京都市におきましても60億円から70億円,向こう3年間で約200億円の増加が見込まれ,本市財政状況は,一段と厳しさの度合いを増すものと考えております。現在,来年度の予算編成のスタートとなる収支見通しの詰めの作業を行っているところでありますが,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画で見込みましたよりも財源不足額の拡大が避けられない見通しであります。今回の決算に決して気を緩めることなく,今一度,危機感を共有し,全庁挙げて中小企業の活性化など京都の強みを生かした成長戦略と,徹底した行財政改革の取組を一体として進めるとともに,国に対しまして,着実な経済成長と地方財政制度全般にわたる改革を求めることにより,公債償還基金の取崩しなど特別の財源対策に依存しない持続可能かつ機動的で足腰の強い財政の確立に向け全力を傾注してまいります。 次に,関西広域連合の取組と京都市との関わりについてでございます。関西広域連合は,関西における府県域を越えた広域行政を展開すると同時に,東京一極集中を打破し,地方分権の突破口を開き,個性豊かで活力に満ちた関西の実現を目指して設立されたものでございます。京都市は,先の5月市会において御議決をいただき,関係自治体の議会の議決,総務大臣の許可を得て8月14日に加入し,また同月17日には,京都市会において井上与一郎議員関西広域連合議会議員に選出されました。井上議員御指摘のとおり,政令市は,広域行政の一翼を担う一方で,住民に最も身近な基礎自治体でもあります。基礎自治体の立場から地域に根差した意見を積極的に提言していくことで,関西広域連合の取組を住民にとって,より身近に,一層実りのあるものとすることができると考えております。 例えば,先ほど井上議員から御紹介のありましたドクターヘリに関する取組をはじめ関西広域連合では,大規模災害が発生したときの応援体制の強化,医療提供体制の構築など,関西の住民の皆様の命と暮らしを守るための取組が進められておりますが,日々住民と接し,また消防,救急活動などにおいて地域,現場の状況をしっかりと把握している政令指定都市の意見,京都市の意見を関西広域連合の取組に反映させることで,より効果的なものとすることができます。また,8月23日に開催されました関西広域連合委員会において,京都市は,京都府と共に広域観光,文化振興の分野を担うこととなりました。京都市が先進的に進めてきた観光,文化の取組は,幅広い経済効果を及ぼすだけではなく,産業,景観,都市計画,交通,環境,教育,福祉などあらゆる分野の政策を融合するまちづくりや,地域の伝統文化や食文化,人々の暮らし方,生き方の哲学,美学,産業の魅力をそれぞれの地域の方々が再認識することにつながり,それらを次の世代にしっかりと伝え,同時に世界に発信する人づくり,コミュニティづくりに大きな役割を果たすものであります。 さらに,京都は1200年を超える悠久の歴史を誇る世界の文化首都であり,大学,宗教,文化芸術,食文化,ものづくり,物語づくり等,多彩な魅力にあふれたまちであります。京都市がこれまで培ってきた経験や特色,強みを関西広域連合においても十分に生かし,また,京都市の近隣市町村をはじめ,他の基礎自治体との連携を一層図りながら,関西はもとより日本全体の発展に貢献してまいります。関西広域連合議会議員でもあられる井上与一郎議員と共に,また,多くの市会議員の皆様の御支援,御協力を賜りながら,しっかりと京都市の責任を果たしてまいる決意でございます。 次に,観光シーズンにおける嵯峨・嵐山地区の自動車流入抑制策についてでございます。我が国を代表する観光地である嵯峨・嵐山地区には国内外から多くの方々が訪れ,毎年観光シーズンには周辺道路でマイカーが集中し,深刻な交通渋滞を引き起こし,住民生活にも大きな影響を及ぼしております。このため,平成13年度に地元住民や商業者の皆様,京都府警察,交通事業者,道路管理者等の関係者の参画の下,嵐山交通対策研究会を立ち上げ,嵯峨・嵐山地域でのパークアンドライドの実施をはじめ,長辻通りや嵯峨街道での臨時交通規制,市営観光駐車場の観光バス専用化等の交通対策に積極的に取り組んでまいりました。この結果,嵯峨・嵐山地域における歩行環境は大きく改善し,周辺道路での交通渋滞も一定緩和したものの,渡月橋に至る道路での交通渋滞はいまだ解消されておらず,先般も嵯峨自治会連合会から,交通渋滞の抜本的な対策の実施を求める切実な御要望を頂だいしたところでございます。観光振興を図る上で,住んでよし,訪れてよしのまちづくりを進めることが極めて重要であり,観光地への更なる自動車流入抑制が不可欠であると認識いたしております。 ロードプライシングは,一定の地域でのクルマの利用に対しまして料金を徴収し,交通量の抑制を図る自動車流入抑制策であり,混雑緩和の効果が期待できるものであります。その導入の可能性を検討する場合,嵯峨・嵐山地域が有力な候補地であると私も認識しております。しかし,国内で高速道路等の一部の道路を除きまして,道路の通行に際しまして料金の徴収が道路法で認められておりません。また,地域経済への影響や住民の理解,料金を徴収する対象者や方法等,克服すべき課題が山積しており,東京都や鎌倉市においても検討が進められましたが,いずれも導入を断念し,我が国において一般道路での導入事例はございません。一方,海外の幾つかの都市で導入され効果を挙げていることから,本市における導入可能性を検討するため,研究を進してまいります。今後,学識者の知見や関係機関の御指導もいただきながら,様々な課題の解決策を研究したうえで,ロードプライシングの社会実験について積極的に検討してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 森林環境税の導入についてでございます。保全,整備された森林は,二酸化炭素の吸収源となり,優れた景観を形成するとともに,土砂災害防止,水源涵養,生態系の保全などの多面的な機能によって,私たちに恵みを与え,文化を育み,生活基盤を形成してきました。現在,本市では,ナラ枯れ対策など森林の再生,森林資源の活用,平成の京町家の普及促進などに取り組んでおりますが,森林保全等の施策を推進するための財源の確保が重要であることは,井上議員御指摘のとおりであります。これまでから,京都みどりプロジェクトを立ち上げ,市内の企業,団体から寄附を募っていることと併せて,更なる財源確保の手段の一つとして,森林環境税の導入の可能性について検討を行っております。森林環境税は,主に森林保全等の施策を推進するための財源として,住民税の均等割の超過課税という手法により,現在,議員御指摘のとおり,33の県と横浜市で導入されておりますが,京都府でも本市と同様に森林環境税の導入が検討されております。そのため,京都市民の負担が過重なものにならないようにすることなどを考慮しながら,府市が推進すべき施策の内容等について必要な協議を行っているところです。 一方,国においては,これまで,いわゆる環境税について検討が行われ,本日10月1日から,地球温暖化対策を進めるため,国税である石油石炭税に上乗せする形で「地球温暖化対策のための税」が導入されています。その税収を二酸化炭素の吸収源対策としての森林施策にも充当できるようにすることや,その税収の一部を地方へ配分することについて,平成25年度の実施に向けた検討が国において進められておりますが,その具体的内容はいまだ明らかにされておりません。本市では,従前から地球温暖化対策について多彩な事業を実施していることから,市町村が森林に関わる施策など,地球温暖化対策を総合的に進めることができるよう,市町村の税財源の確保,充実を指定都市共同で国に強く要望してまいります。森林保全等は,本市の重要な施策であります。そのための財源を確保する観点から,「地球温暖化対策のための税」などの状況を踏まえ,京都府との協議を更に推進し,森林環境税についてしっかりと検討を進めてまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,中川一雄議員に発言を許します。中川議員。 〔中川一雄議員登壇(拍手)〕 ◆(中川一雄議員) おはようございます。私は,最も人口の多い伏見区から選出をされております中川一雄でございます。門川市政を支える最大会派の自由民主党の井上与一郎先輩議員に続きまして,自由民主党を代表いたしまして門川市長及び関係理事者の方に質問いたします。どうか具体的かつ明確な御答弁をいただきますようお願いいたします。 まず,独り暮らし高齢者をはじめとした,地域での見守りを必要とする方に対する支援の充実についてお尋ねします。京都市における高齢者化の状況は,平成22年の国勢調査の結果によれば,全人口に占める65歳以上の割合が23パーセントとなっており,おおよそ4人に1人が高齢者であります。また,全国の都市部に共通したことですが,京都市においても,核家族化の進行により,独り暮らしの高齢者の増加は著しく,平成17年度では6万714世帯であったものが,平成22年度では7万738世帯と約1万世帯も増加しております。京都市の全世帯数のいまや10世帯に1世帯が独り暮らしの高齢者という状況であります。こうした独り暮らしの高齢者が増加し,また,地域社会のつながりが希薄になってきていると言われる中で,残念なことですが,孤独死が大きな社会問題の一つとなっています。孤独死の防止は現代社会における重要な取組であり,痛ましい孤独死といったことが起こらない地域社会を作っていくために,学区,地域において,独り暮らし高齢者などを見守り,そしてその地域に出てきてもらい,居場所づくり,仲間づくりを進めていくことが必要であります。 また,東日本大震災でも大きな問題になったように,高齢者や障害のある方といった要援護者の方は,一般の方と比べると被害が大きく,新聞報道によりますと2倍以上の死亡率となったとお聞きしております。加えて,自治会,町内会未加入者の身元確認についても大変遅れたと言われています。災害が起こった直後から,行政がすぐに対応するというは無理なことであり,頼りになるのは家族,親族,そして自治会,町内会といった地域での人と人のつながりであります。そして,そのつながりを生かすためには,地域において援護を要する方をあらかじめ把握し,日ごろからきずなづくりを進めるとともに,万が一,災害が起こった場合であっても,要援護者の避難支援を地域で可能な限り行っていくという意識付けとその行動が重要であります。私の知るある学区では,既に4年前から,社会福祉協議会の活動として,健康すこやか学級のボランティアや役員が地域福祉推進委員となり,二人一組で高齢者世帯への訪問活動を実施されています。まずは自治会,町内会に未加入の独り暮らしの高齢者の世帯から,何度も何度も足を運び訪問され,やっと顔なじみになり,何でも話し合える顔の見えるつながりづくりをされてきました。信頼を得るまでには大変な御苦労があったように聞いております。そして,訪問するだけでなく,独り暮らしの皆様の緊急時の家族の連絡住所,掛かり付けの病院,薬等が記載された緊急安心記録をプラスチックの容器の中に入れ,それを冷蔵庫の中に保管したうえで,冷蔵庫のドアの前には,「中には緊急安心記録が入っています」と書いたマグネットシールを張っておられるそうでございます。これは当然,消防署,出張所職員,包括支援センターの職員の方も確認されているとのことであります。 このような活動をされている学区の見守り活動というのは,京都市でも是非とも参考にされてもいいのではないでしょうか。丁度今年度から実施となった「地域における見守り活動促進事業」は,正に地域でのきずなづくりに寄与することであり,大変歓迎しているところであります。私はこの事業を通じて,市長がかねてからおっしゃっております「京都の地域力や人間力によって,地域の安心安全を足元から高めていく」ということが大変重要であると思います。この事業は,刻々と状況が変わる独り暮らし高齢者や要援護者の方々への支援を,その地域自らが取り組んでいくという,地域コミュニティの活性化にも大いに役立つ事業だと考えていますが,この事業によって,どういう地域社会を作っていきたいのか,まず,門川市長の決意と現状を踏まえた今後の見通しをお聞きしたいと思います。 また,この事業の要は,個人情報の保護を図りながら,独り暮らしの高齢者や要援護者の方々が,安心して自身の個人情報を提供できる体制を地域と行政が共に確保していくことにあります。既に,その一環として,見守り対象者名簿の貸出しを受け付ける社会福祉協議会や民生委員協議会等に対して,目的外使用の禁止や情報管理方法等を定めた協定書を本市と締結されていますが,現時点では,その締結はどの程度進んでいるのでしょうか。私は,この事業を通して,市内全域に地域見守り活動を広げていくために,地域と行政間での個人情報保護に係る協定書の締結にとどまらず,各地域が顔の見えるつながりづくりを発展させ,より多くの方から同意を得られるような,更に一歩進んだ仕組みが必要と考えていますが,その点についてはいかがお考えでしょうか,併せてお答えください。 次に,南海トラフ巨大地震への対応方針についてお伺いします。東日本大震災を教訓に,国の中央防災会議に南海トラフの巨大地震モデル検討会が設置され,本年8月29日,同検討会から南海トラフの巨大地震による被害想定が発表されました。京都府下で最大で震度6強の揺れに見舞われ,最悪のケースで死者900人,全壊する建物が7万棟と発表されました。これは地震が陸側で起きるパターンで,風の強い冬の夕方という最も被害が大きくなる条件での想定であります。京都市では臨海部がなく,津波による被害はありませんが,最大震度は京都市伏見区,南区など南部を中心に震度6強が予想されています。京都市第3次地震被害想定によると,これまで京都を襲う可能性のある地震としては,花折断層帯を震源とする地震でマグニチュード7.5,最大震度7で想定されていました。今回の南海トラフ巨大地震による最大震度予想はこれを下回りますが,南海トラフ巨大地震が発生すると,日本中の広範囲にわたり被害が発生することが容易に想像され,京都市も他都市からの支援を待つより,自らが自らの復旧復興活動を完了させ,逆に他都市の応援に回る立場にもなることがあろうかと思います。南海トラフ巨大地震の想定により,一つの自治体のみならず,広域災害を想定し,より広域的な連携の下での対策という,新たな取組の必要性が浮かび上がってきたかと思います。こうした点も踏まえ,速やかに京都市として南海トラフ巨大地震への対応方針を策定するべきだと考えますが,いかがですか。 次に,都市型水害についてお伺いいたします。近年,都市部や周辺部を問わず全国的に局地的な大雨や集中豪雨に襲われて,深刻な浸水被害が頻発しています。京都市内においても,駅や地下街,地下駐車場などによる地下空間の有効利用が増加していますが,浸水に対して課題があるとされており,しっかりと危機意識をもって,浸水被害の軽減に向けた対策を講じる必要があります。国は平成17年に水防法を改正し,浸水想定区域内にある地下街等の地下施設の所有者又は管理者は,避難確保計画を作成することが義務付けられており,全国の自治体で,浸水に備えた設備改善や情報伝達体制の構築が急がれています。 京都市においては,平成22年4月に「雨に強いまちづくり推進計画」を策定し,10年に一度の大雨(時間雨量62ミリ)に対する安全性を高めるため,雨水幹線などの地下の貯留施設の普及等を推進されていますが,雨水整備率は約2割にとどまっている状況です。また,市街地の河川改修は約6割程度にとどまっていると伺っております。さらに,市の予測によりますと,市営地下鉄や私鉄が地下を走る祇園や京都駅周辺では,0.5メートルから3メートルの浸水区域も多く,地下の鉄道網を通じて被害が広範囲に広がる可能性もあります。こうした状況では,水害の予防,発生時の対策もいまだ不十分であると言わざるを得ず,また,鴨川といった大きな河川だけでなく,本年8月に発生した京都府南部豪雨による被害のように,中小河川の氾濫リスクをいかに抑えるかといった課題も抱えています。都市化の進展による宅地化や都市開発に伴う保水機能の低下,局地的な大雨の増加による浸水等の都市型水害の危険性の高まりを受け,ただ一方では,京都市の厳しい財政状況もあり,河川整備がなかなか進まないという状況を踏まえ,災害時にも健全な都市機能が確保できるよう,どのように雨に強いまちづくりを進められるのか,今後の方向性を含め,市当局のお考えをお聞かせください。 次に,災害時の緊急避難場所と,災害対策本部における自主防災会,自治会の関わりについてお伺いします。災害が発生したら速やかに避難をしなければなりません。そして避難所は命を守り,希望を見出だす拠点でなければなりません。私は,地域の集合や避難は,原則町単位で行うのが望ましいと思います。そのためには,事前の協議により避難施設をあらかじめ決めておく必要があります。ただし,災害でも地震と水害とでは避難施設の選別をし,そうした選別のうえ,自治会を含めた各学区自主防災会(自主防災部)において,まずは避難情報伝達,安否確認訓練を実施し,また,避難所開設の訓練をしなければなりません。京都市では,多くの自主防災会や自主防災部でそうした訓練をされていると伺っております。そうした中,京都市防災危機管理室においても,地域で避難所運営をしていただくためのガイドラインである京都市避難所運営マニュアル作成のための取組を始められたとお聞きしましたが,現在,どのような検討が行われているのでしょうか,お聞きかせください。 次に,横大路運動公園への専用球技場誘致についてお伺いします。京都府が予定している球技専用スタジアムは,大規模な試合等が開催可能な2万5,000人規模が想定されるなどの本格的な施設整備です。その球技専用スタジアムの誘致については,本年5月市会において,「横大路運動公園への専用球技場誘致を推進する京都市会議員連盟」の会長でもあります我が会派の高橋泰一朗議員も質問されましたが,地元の連合自治会長でもあります私からもお伺いしたいと思います。 アスリートが夢見るサッカー,ラグビー,アメフトなどの競技に取り組む青少年の憧れの球技場として,市民,府民が身近にトップレベルのスポーツに触れ合える本格的な専用球技場の京都市内での設置は,サッカーファンはもとより京都市民の悲願であります。京都市における専用球技場の整備については,平成16年に京都府,京都市,京都商工会議所の三者によるサッカースタジアム研究会が発足し,平成17年度には,サッカースタジアム検討委員会が発足し,横大路運動公園での整備の具体的な検討が進みましたが,京阪電車の新駅の問題,本市の経費負担の問題により見送られました。またその後には,西京極陸上競技場の全面改修案では工事期間中の代替スタジアムが確保できないことや,専用球技場でないこともあって決定されなかった経過があります。その後,いったん白紙になりましたが,府主導の下,今回は府が整備費用の全額負担と併せて府立球技場として運営費を負担し,市町村は無償で土地を提供するという新しい枠組みに,京都市が横大路運動公園を候補地として応募されました。現在は,京都府が設置された専用球技場用地調査委員会において候補地を検討されており,秋ごろには一定の方向性をお出しになるようにお聞きをしています。私は,立地条件が良く,安定した観客動員が見込める点など,横大路運動公園での球技専用スタジアムの整備は,京都市民,府民にとって大きなメリットがあるとともに,古くから京都の南の玄関口である横大路の地域活性化の核となり,10年先,20年先を見据えたまちづくりの進展に必ずやプラスになると考えます。横大路地域は,京都市においても重要な地域であり,将来性豊かな地域でもあります。地元では,横大路に球技専用スタジアムを建設しようとのぼりを100本設置し,その気運を盛り上げています。そして,署名活動も実施いたしました。地元を中心に約1万5,000名の方に署名をしていただきました。こうした京都市民,伏見区民の熱き思いにこたえるべく,球技専用スタジアムの誘致について市長の決意と今後の展開についてお聞かせください。 次に,伏見区役所神川出張所の移転による機能充実と利便性の向上についてお伺いいたします。伏見区役所神川出張所がある久我・久我の杜・羽束師地域は,子供や子育て世代を中心とした人口増加により,若くて活力ある地域となっている一方,相談や手続をするために本所の伏見区役所へ行くにも1時間に2本しかない市バスしか交通手段がないなど,暮らしに必要不可欠なまちの機能の整備が,まちの開発に追いついていないという課題を有している地域であります。これらの課題の解決を目指して,平成19年2月に「久我・久我の杜・羽束師地域まちづくり協議会」が設立され,地域住民が主体となった議論が重ねられてきた結果,平成23年10月に「久我・久我の杜・羽束師地域の総合的なまちづくりビジョン」が策定されたところであります。このまちづくりビジョンでは,地域の持つ様々な問題や課題を解決し,地域の持つ良さを更に発展させるまちづくりに取り組んでいくことが示されており,その一つとして,今般,久我・久我の杜・羽束師地域の永年の思いでありました神川出張所について,地域の中心に位置する,現在スーパーマーケットが退出して以降,空き室になっている久我の杜センター棟に移転することが打ち出され,平成24年度予算において,新規予算8,240万円の新しい神川出張所の整備費用が計上されました。現在,平成25年度早期の移転に向け,機能の充実に向け準備を進めていただいております。 この度の移転を契機として,支所並みの機能充実を図っていただくことは,地元からの強い要望でもあります。この出張所の位置付けは,過去の市町村合併に伴い設置されたものであり,平成16年3月に出された京都市行政区制度検討調査会の「京都市における行政区制度の在り方について」の報告書の中にも,「出張所の機能の整理,見直し」として,「行政区の規模が大きいことによるサービス低下を回避する観点からも,現在の主たる業務である市民窓口課業務の効率化を図り,福祉,保健分野を含む日常的な相談業務に重点を移していくことを検討すべきである」と記載されています。地域人口が3万人になろうとしているこの地域で,地域の拠点となる会議スペースの確保や,子育て世代への支援,高齢者の孤立防止への対応など,そして,特に出張所管内の若者人口の割合が非常に高いという地域特性を踏まえ,新しい出張所の機能充実と共に公共交通の利便性の向上を速やかに図る必要があると考えますが,いかがお考えですか。御所見をお願いいたします。 次に,同地域におけるまちづくりについてお伺いします。久我・久我の杜・羽束師地域においては,これまで道路等の生活基盤の計画的な整備が不十分なまま,民間事業者によるミニ開発が進められ,周囲の道路との接続に関係なく無秩序に開発されているのはもちろんのこと,それ以上に,私には大きな心配があります。それは,地球規模で温暖化が進む中,自然現象の変化の一つに短時間で集中的に降る豪雨,ゲリラ豪雨に対する計画のないまま宅地開発がされたことです。今まで農地がある程度,雨を地下に浸透させていました。今,この地域に集中豪雨があれば,雨水は農業用水路に集中して流入します。その水量は,用水路の限度をはるかに超えたものになると思います。さらに,用水路は営農者の減少により,管理も全てまで行き届かず,昔からの素掘りのままの箇所すらあります。また,土砂が堆積したまましゅんせつされていない箇所もあります。このような状況の中でいかなる事態になるか,皆様の御想像にお任せしますが,これは私は人災であると思っております。無計画に安易な宅地開発が進行すれば,それを見過ごした行政の責任は免れないと大変心配しております。また,この地域には東西南北ともに整備された道路がなく,都市計画道路も計画されたまま整備されていない状況が続いています。このまま住宅開発が進みますと,更に道路状況や生活環境が悪化することになります。このような久我・久我の杜・羽束師地域の現状を踏まえ,無秩序な開発を抑え,どのように適正な宅地開発を進めていくのか,御所見をお伺いいたします。 最後に,地元の横大路地区の現状についてお伺いします。伏見区西南部に位置し,京都の南の玄関口と言える横大路地域は,平安のいにしえから,大阪湾,淀川,桂川を結ぶ水運の要所として,多くの水産物や米穀類の生活物資を集積する草津湊として栄えており,以前にはこの場所に中央市場のルーツともなる魚市場がありました。これら生活物資は,洛中に運ばれ,都の南であっても運輪,交通の要衝として繁栄し,「貴船町」,「草津町」といった地名によって当時をしのぶことができます。しかし,今の横大路地域はどうでしょう。他の地域と比較しましても,公共交通が相対的に脆弱な下,南部クリーンセンター,魚アラリサイクルセンター,水環境保全センター,産業廃棄物処理施設など,ありとあらゆる市内の環境関連施設が過度に集中していることは全市の皆様が御承知のところであります。これは,京都市民の生活を環境面から支えていると言っても過言ではないと考えます。住民の中では,地域コミュニティに対する閉塞感を募らせているのも事実です。 以前,都市計画審議会における会長発言の中に,「京都市は,横大路地域全体のまちづくり構想を住民に示すべきであり,そのことなしに住民の市政に対する信頼感と理解は得られない」と報告されました。そのことを真摯に受け止めていただきたい。長年にわたり,積もり積もった住民意識の中に蓄積されました行政に対する不信を解消するためにも,横大路地域の未来構想を示すことが焦眉で急務であると考えます。平成18年度に,当時の水田伏見区長の御奔走,呼び掛けにて地域住民と京都市,1区6局で構成された「横大路ルネサンス・プロジェクト会議」が設置されました。京都市が,初めて横大路地域のまちづくりに本腰を入れて取り組もうとすることに,地域の期待は今でも大きいものがあります。横大路地域については,平成16年当時,南部クリーンセンター第二工場の建替え計画案について説明があり,前向きな話合いが進んでいましたが,当局の財政上の問題により,一旦は建設延期となったものの,近々に再度第二工場の建替え建設工事についての話合いがあるようにもお聞きしています。これらの経過,また地域住民の思いを踏まえ,この地域における具体的な将来構想を含めた今後の基本目標と進め方について,どのような認識を持っておられるのか,市長にお伺いします。また,こうした地域のまちづくりについては,伏見区役所だけの協力では進みません。やはり総合行政としての位置付けを行い,各局が積極的に参画していただき,バランスのとれたプランづくりが大変重要であると考えますが,いかがでしょうか。併せて御所見をお願いいたします。 西日本最大規模の行政区であり,区民人口28万人を超える伏見区は,京都市の南の玄関口であります。伏見区南西部,この京都の主要道路の要衝であり歴史ある地域の調和の取れた発展なくして,京都の文化や伝統を語ることはできないと思います。今後の京都市政を考える上でも,大きな課題であると考えますので,門川市長におかれましては,今後とも不退転の決意でお取り組みいただきますよう強く要望いたします。 長時間にわたり,御清聴をいただきましてありがとうございました。これで私の質問を終了いたしますが,市長はじめ理事者の誠意ある御回答をよろしくお願いいたします。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中川一雄議員の御質問にお答えいたします。 まず,地域における見守り活動促進事業についてでございます。高齢者や障害のある方をはじめ,全ての市民の皆さんにとって安心安全なまちをつくっていくためには,地域の皆様力が相互に支え合う,自治が息づくまちを推進し,中川議員御指摘の「顔の見えるつながり」を作っていく必要がございます。この事業は,地域の皆様からの御要望や,京都市社会福祉協議会からの政策提言をいただき,それを踏まえ,同意が得られた要援護者の方の名前を登載した見守り活動対象者名簿を本市が作成し,地域に提供する仕組みとして本年7月から開始したところであります。この間,個人情報の厳格な管理などを求める協定書の締結について関係者の御理解と御協力を得て取組を進め,既に216の全ての学区民生児童委員協議会,61の全地域包括支援センターと締結を完了し,また地域の福祉活動を自主的に推進していただいております学区社会福祉協議会につきましても,この9月末で全体の約6割となる133学区と締結の運びとなっております。 次に,今後の取組についてでございますが,大きく二つの視点を持って推進してまいります。まずこの事業を通じて,地域の創意工夫に基づく主体的な活動を継続的に行っていただくことにより,より多くの方々に御同意をいただき,顔の見えるつながりを一層強固なものとなるよう地域と共に取り組んでまいります。同時に,地域における見守り活動の中で明らかとなった支援を要する方に対し,本市や地域包括支援センター,地域の皆様が一体となり,医療や介護,生活支援サービスが切れ目なく利用していただける体制づくりを進めてまいります。これらの取組を通じまして,市民の皆様の命と暮らしを守り,安心安全で幸福を実感できるまち・京都を更に推進してまいります。 次に,南海トラフ巨大地震への対応方針についてでございます。本市においては,既に京都盆地の地下構造や活断層の綿密な調査を行う中で,3次元地下構造モデルに基づく全国トップレベルの精度を持つ九つの地震被害想定を策定し,最も甚大な被害を及ぼす花折断層地震を前提にして,建物の耐震化などの幅広い防災対策を推進しております。この取組につきましては,昨年度実施した防災対策総点検委員会においても,南海トラフ巨大地震に対しても有効であるとの評価をいただいております。しかし,中川議員御指摘のとおり,南海トラフ巨大地震では,太平洋側臨海地域に津波による甚大な被害が想定されており,これらの地域に比べまして被害の少ない本市は,地域防災計画で予定している外部からの支援が期待できず,逆に他都市を支援する立場となることも想定していく必要がございます。現在,南海トラフ巨大地震のような多くの府県にまたがる広域災害への対応については,関西広域連合において,関西広域応援・受援実施要綱の今年度策定に向けて検討を進めております。本市は関西広域連合において積極的な役割を果たすとともに本市地域防災計画に速やかに反映するなど,引き続き災害に強いまち・京都を目指してまいります。 次に,雨に強いまちづくりについてでございます。近年各地で豪雨災害が頻発しております。本市では,これまで河川改修と地下の雨水幹線整備を2本の大きな柱として浸水対策を強力に進めてきております。その結果,床上,床下浸水の被害戸数は,この10年間の年間平均は45戸と,前の10年間と比較して6分の1に,その前の10年間とでは10分の1と大きく減少しております。河川改修事業については,現在,西羽束師川支川,七瀬川を含め七つの一級河川の改修を鋭意進めているところであります。また本年8月に宇治市で発生した浸水被害を受け,直ちに,天井川をはじめ本市が管理する河川の緊急安全点検を建設局を中心に徹底して実施いたしました。今後は,中小の河川において河川断面などの現況調査を行い,流下能力の低い箇所における部分改修や調整池の整備など,効果的な治水対策の検討も進めてまいります。また,都市部の浸水対策に大きな役割を担う下水幹線の整備につきましては,これまでに西羽束師川や有栖川,堀川流域等での整備を行い,この20年間で事業費約1,300億円,貯留水量約35万立方メートルの対策を行ってきたところであり,現在は,京都駅周辺の塩小路幹線や山科三条雨水幹線の整備を進めております。こうした取組に加えまして,現在,行政の縦割りを排した融合の取組として,森林保全や農地における保水機能の向上,また,グランドを利用した雨水貯留施設整備などのハード対策と共に,官民協力の地下街水防体制や警戒避難体制の構築など,自助やソフト対策も含めた総合的な対策を推進しているところであります。今後とも,大変厳しい財政状況の中ではありますが,より効果的な河川改修や雨水幹線等の整備を進めるとともに,企業や市民の皆様と共により一層協力しまして,街路樹や都市の緑化など雨に強い京都のまちづくりを力強く進めてまいります。 次に,避難所運営マニュアルについてでございます。避難所は,大規模災害発生時には地域における情報や生活の拠点となる重要な場所であり,東日本大震災の発生を受けて設置した防災対策総点検委員会からも,その運営マニュアル策定の重要性が指摘されております。このため,本市では,学識経験者や地域で率先して取組をされている市民等の参画を得まして,避難所マニュアル策定のための検討会を本年7月に設置し,丁寧な検討を重ねていただいているところであります。 そして,この検討により,全国に先駆けました策定方針,一つは,「避難所は住民自治による開設・運営を目指す」,二つ目は,「避難所を自立支援,コミュニティ支援の場として取り組む」,三つ目は,「要配慮者にも優しい男女共同参画の視点に配慮した避難所づくりに取り組む」の三つを基軸といたしまして,まずは,避難所ごとのマニュアルのひな型となる標準マニュアルを,今月中に策定することとしていたおります。また,このひな型を基本に,今年度中に各区・支所ごとに選定した約70箇所のモデル避難所でマニュアルを策定し,各区の防災訓練等で実際に運用しながら,充実,進化させてまいります。さらに,その成果を踏まえ,地域住民の皆様との協働により,各地域の特性や実情に応じた,市内404箇所の避難所ごとのマニュアルを早期に策定し,災害時に市民の皆様の命と暮らしを確実に守る避難所運営に全力を傾けてまいります。 次に,横大路運動公園への専用球技場の誘致についてでございます。横大路地域での専用球技場の整備は,京都市南部地域の発展の中核となるものであり,何としても誘致を実現してまいりたいと考えており,市民の皆さんと共に全庁を挙げて取り組んでまいりました。市会の先生方には,先の5月市会において誘致推進の決議を,また6月には超党派の誘致推進議員連盟を結成していただき,さらに府議会からも顧問に就任されるなど,力強い御支援を頂だいし,誠に心強く,心から感謝申し上げます。また,地元伏見区の皆様を中心に,約1万5,000名もの署名を集められ,また,のぼりも作って立てていただいております。地域の皆様の期待,熱い思いをひしひしと感じております。 横大路運動公園は,市内外から抜群の交通アクセスを誇り,また,最寄りの京阪淀駅が複線高架化され,観客の大量輸送が可能であること,加えて府の人口の約6割を占める京都市内に立地することで,安定した観客動員が可能であり,私は,候補地として最もふさわしい場所であると確信いたしております。スタジアム誘致により,この横大路地域がスポーツのメッカとして,また隣接するクリーンセンター,焼却施設の抜本的な再整備により,世界最先端の環境学習等の拠点として,さらには隣接する京都競馬場との連携も含め,歴史や文化など幅広い地域との連携によりまして,集客効果の高い,経済効果を生み出す施設となると考えており,多くの人が訪れ,交流できるにぎわいのあるまちづくりに大きく生まれ変わると確信しております。現在,山田知事の御英断により府が設置されました有識者による調査委員会で,候補地の検討が進められておりますが,私は,こうした点をしっかりとアピールし,山田知事との府市協調のシンボル事業として,横大路運動公園への専用球技場誘致が実現するよう,全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。 次に,横大路地域のまちづくりについてでございます。本市では,横大路地域の再生を目指すための将来構想を定めた「伏見ルネッサンスプラン」を平成19年3月に策定し,地域住民と企業,京都市が一体となって,そのプランの推進に取り組んでいるところであります。こうした中,本年6月に,横大路まちづくり協議会を立ち上げられ,この秋には,区役所が今年度創設しました区民提案型まちづくり支援制度を活用していただき,「草津湊鱧海道祭り」を開催されるなど,地域が主体となってまちづくり活動を進められていることは,大変心強い限りであります。本市といたしましても,南部クリーンセンター第二工場の建替えに当たりましては,これまでのクリーンセンターのイメージを抜本的に一新し,高効率ごみ発電やバイオガス化技術のほか,「都市油田」と高い評価を得ております,ごみからのバイオエタノールの製造施設の整備も予定しており,先進的なモデルとなる世界最先端の楽しく学べる観光施設にもなる環境学習の拠点として,整備を進めたいと考えております。今後,横大路運動公園への専用球技場の誘致を契機に,まちづくり協議会と一層連携を図りながら,京都のスポーツのメッカであるとともに,豊かな水と緑があふれた環境共生のまち横大路の実現を目指しまして,オール京都市で総合的なまちづくりを力強く進めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 神川出張所についてでございます。神川出張所につきましては,中川議員御指摘の「久我・久我の社・羽束師地域の総合的なまちづくりビジョン」に掲げる取組項目の一つといたしまして,平成25年5月の移転,開所を目指し,鋭意取組を進めているところでございます。移転先の出張所は,地域の中心部に位置するとともに,現在の出張所の約2倍の床面積を有し,また高齢者の公的相談窓口である地域包括支援センターと隣接するなど非常に恵まれた環境にあります。こうした利点を生かし,新しい出張所の機能の充実を図ることとし,自主的なまちづくり活動や子供から高齢者までの交流の場として利用いただくことができるスペースを確保してまいります。さらには,この地域の若年人口の割合が非常に高いことから,ニーズの高い児童手当,子ども医療及び高校進学・修学支援金業務を新たに取り扱うとともに,隣接する地域包括支援センターと連携した高齢者に対する取組や福祉制度の案内を行うなど,市民サービスの向上を図ってまいります。なお,公共交通の利便性の向上につきましては,地域の皆様をはじめとした公共交通利用促進の取組と併せて,その充実を検討してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 久我・久我の杜・羽束師地域のまちづくりについてでございます。都市計画道路羽束師墨染線及び伏見向日町線につきましては,京都市南西部地域における交通渋滞解消はもとより,まちづくりの観点からも重要な路線であると認識しております。しかし,この間,道路整備に係る国からの補助金は大幅に減少していることに加え,東日本大震災を受け,本市では橋りょぅ対策などの防災・減災対策を緊急事業として取り組んでおりますことから,新規の道路整備は,非常に困難な状況ですが,継続事業である桂川右岸堤防道路などの路線は,早期整備に向け,重点的に取り組んでまいります。 宅地開発につきましては,平成19年に,位置指定道路に関する条例を改正し,無秩序なミニ開発を防止するとともに,一定規模以上の宅地開発につきましても,都市計画法に基づく開発許可制度による指導を行うことにより宅地の安全性を確保しており,豪雨への対策としては,必要な排水施設を開発区域内に整備させております。また平成21年には,当該地域の状況を踏まえ,周辺道路との接続が一定図られるよう,開発許可基準の見直しを行いました。今後も開発許可制度の適正な運用を図り,当該地域における良好な宅地開発の指導に努めてまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,田中明秀議員に発言を許します。田中議員。 〔田中明秀議員登壇(拍手)〕 ◆(田中明秀議員) 西京区選出の田中明秀でございます。井上与一郎議員中川一雄議員吉井あきら議員と共に,自由民主党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問をさせていただきます。理事者の皆様方には誠意ある答弁をお願いいたします。 本年,明治45年に京都に市電が走り公営交通が誕生して,100年を迎える記念すべき年に当たります。門川市長は就任以来,常に市バス・地下鉄の経営を念頭に置いて市政の運営に取り組まれてきたことと思います。京都市の市バス・地下鉄両事業は,地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)に定める経営健全化団体に該当することとなり,平成22年3月にこの両事業の経営健全化計画を市会の議決を経て策定されたことは,経営の危機的状況を象徴する出来事でありました。 しかしながら,この逆風を逆手に取り,一般会計と公営企業会計を合わせた連結収支の視点からも,市バス・地下鉄の健全化を市の財政健全化の最重要課題と位置付け,「経営健全化計画の達成なくして明日の京都はない」との決意の下,市長自らが先頭に立ち,市のあらゆる政策を総動員し,全庁挙げた地下鉄5万人増客を目指し,市民をはじめ多くの人々に市バス・地下鉄の利用を呼び掛けられ,更に,利用者の立場に立ったこれまでにない事業にも取り組まれ,市バスは9年連続の黒字を更新し,23年度決算では約29億円の黒字を確保しました。また地下鉄では,1日当たりの赤字額を市長が就任された当時の半分以下である約1,800万円まで削減し,現金収支は3年連続の黒字を確保することとなりました。特に,経営健全化の指標である資金不足比率を早期に20パーセント未満にする目標について,市バスでは計画45.7パーセントのところ実績25.9パーセント,地下鉄においては計画114パーセントのところ実績57.8パーセントと,計画を大きく上回る成果となっていますが,依然厳しい財政状況であることには変わりません。市長は就任以来,自ら先頭に立って市バス・地下鉄事業の経営健全化に取り組んでこられましたが,特に経営健全化計画の3年間の取組をどのように総括され,それを踏まえ,今後どのような方向性で市バス・地下鉄事業を運営していくのか,市長のお考えをお聞かせください。 次に,駅ナカビジネスについてお尋ねいたします。平成22年度に開業しましたコトチカ四条は駅空間の有効活用と出店者の魅力も相まって,地下鉄の利用者のみならず買物のためにコトチカ四条に足を運ばれる利用者もおられるほど,駅に新たなにぎわいをもたらしました。コトチカ四条が突破口となって,翌23年度にはコトチカ御池がオープンし,去る9月25日には地下鉄の中で最も利用客が多い京都駅に,コトチカ京都の一部(北改札口エリア)がオープンいたしました。私も開業式典に参加いたしましたが,「地下空間を心が弾むワクワク空間に!」をコンセプトにしているだけあって,殺風景だった駅の空間が明るく華やかに生まれ変わっておりました。新たに整備された待ち合わせスポットのコトチカ広場には,ちょっと腰が掛けられるベンチも整備されており,京都駅を訪れた市民や観光客の皆様の憩いの空間になるとの思いを強くしたところです。 市長は,地下鉄の駅ナカビジネスによる収入についても,経営健全化計画に掲げられていた「平成25年度までに年間5億円の収入を確保する」とする目標をコトチカ京都の開業などによって今年度中に達成されようとしておられます。駅ナカビジネスにより,無機質で冷たく感じられた駅が便利でにぎやかになり,市民に愛される地下鉄にもつながります。交通局にとっても,増収は言うまでもなく,地下鉄利用者の増加も期待できます。駅ナカビジネスの更なる発展は,経営健全化の促進のために必須の課題と考えます。四条,烏丸御池,京都と利用者の多い駅でのコトチカの展開にめどが付いた今,利用客が少ない駅において駅ナカビジネスを展開するには,これまで以上の創意工夫が必要です。経営健全化計画に掲げる「平成25年度までに年間5億円の駅ナカビジネスの収入を確保する」という目標を1年前倒しで達成されようとする今,今後の駅ナカビジネスをどのように展開されようとしていくのか,市長のお考えをお聞かせください。 次に,水道事業についてお伺いいたします。明治45年に,京都市三大事業の一つとして第二琵琶湖疏水を完成させて今年で100周年になります。100年の間,京都市民の命を守り,今では美味しい水と定評を得るようになりました。平成19年度には,上下水道事業の基本理念や10年間に取り組むべき課題や目標をまとめた「京の水ビジョン」を策定され,現在は平成25年度から始まる次期経営計画の策定を進めていると伺っております。節水型社会が定着し,上下水道事業を取り巻く状況は厳しいものがありますが,私はこの計画において水道管の老朽化対策,施設・管路の災害対策を本市における喫緊の重要課題として明確に位置付け,必要な事業を更に促進していくべきであると考えます。 特に,私の地元西京区の洛西地域では,水道管の事故が度重なり,市民の皆様方に多大な迷惑をお掛けしております。昨年,平成23年6月20日には,水道管の破裂でガス管への水道水流入事故が起こり,これに続いて,7月19日,8月18日,10月20日にも水道管が破裂して多くの断水,濁水が生じ,さらに今年に入っても8月21日,橋に架けられた水道管から漏水し,広範囲に濁水が発生しました。洛西地域の水道管の破裂については,酸性土壌による腐食が原因とされていますが,これも老朽化の一つであり,水道管を適切に更新していくことの重要性がますます高まっています。本市の老朽化した水道管の事故に関しましては,私も補正予算を審査する特別委員会や常任委員会などで対策の必要性を重ねて指摘してまいりました。上下水道局では平成24年度,25年度の2箇年で洛西地域の水道管腐食対策として40億円余りを掛けて,対策が必要な水道管の残り13キロメートル分についての取替えを実施することとされました。しかしそれは,第一歩にすぎません。老朽化した水道管は市内全域に埋設され,それらに対する抜本的な対策が強く求められています。 昨年3月には東日本大震災が発生し,死者・行方不明者は約1万9,000人,建物の全壊,半壊39万戸以上など,極めて大きな被害を引き起こしました。水道,下水道においても施設の損壊や管路の破損など甚大な被害が生じ,被災地では長期間の断水と使用不能を強いられ,地域によってはまだ復旧途上にあるなど,住民生活に大きな影響を及ぼしています。また,今年8月,国の有識者会議では,東海,東南海,南海地震などが同時発生する南海トラフ巨大地震について新たな被害想定を公表しました。死者数は最大で32万人,京都府内でも最大震度6強,想定死者900人とされており,この秋には経済被害等も踏まえた被害想定についても公表される予定となっています。都市の基盤施設であり,ライフラインとしての水道,上下水道について地震等の災害について備えておくことの重要性が再認識されています。そこで,現在策定作業中であると思いますが,次期経営計画において老朽化した水道管の更新や災害対策についてどのように位置付けようとしているのか,財源確保の問題も含めてお伺いいたします。 次に,リニア中央新幹線についてです。去る9月4日に議会,行政,経済界等が一堂に会した「京都府中央リニアエクスプレス推進協議会」総会が開催され,「リニア中央新幹線京都駅ルートの推進,東京・大阪間の全線一体開業,関西国際空港へのアクセス改善をオール京都で目指していく」との共同アピールが力強く宣言され,我が自由民主党京都市会議員団が求めてきたリニア中央新幹線京都誘致に大きな一歩が踏み出されました。平成4年に誕生したのぞみは,最高時速270キロにより,現在東京と京都を2時間20分で結んでいますが,超電導磁気を用いた浮上方式のリニア中央新幹線が開業すれば,最高時速505キロで東京・京都間は60分で結ばれることとなります。 このリニア中央新幹線については,平成22年9月市会で我が会派の寺田一博議員が,また,今年2月市会で内海貴夫議員が取り上げさせていただきました。自民党市会議員団としても何とか京都駅ルートとの思いが強いのですが,日本の文化の中心である京都を通らないルートで計画され,現在,国,JR東海は昭和48年に決定した中央新幹線の基本計画をより所にしたルートでの整備を進めようとされております。奈良市付近を主な経過地とするという計画が決定されたのは,今から40年近くも前のことであります。その後の社会情勢が大きく変化したにもかかわらず,日本全体にとってどのようなルートがいいのか,経済効果も含めた検討が行われたことは一度もありません。昨年5月には京都駅を通らないルートでの整備計画が決定され,既に東京・名古屋間では着工に向け環境アセスメントの現地調査が行われています。この間,門川市長はあらゆる機会を通じて京都,関西,そして我が国全体のために京都駅ルートの必要性を訴えてこられましたが,国もJR東海も「既に決定済み」との姿勢を崩しておりません。山田京都府知事も,「40年前の計画に固執するのはおかしい。経済的に効果があるのは京都駅ルートだ」と訴えられ,橋下大阪市長や嘉田滋賀県知事も京都駅ルートに理解を示されています。京都駅ルートを実現することは,次の世代の京都市民に対して,現在を生きる私たちが負うべき責任でもあり,私たちが一丸となり,全力で取り組めば必ずや実現できるものと確信しております。リニア中央新幹線京都駅ルートの実現のための京都市長の決意と今後の取組をお聞かせください。 今年は京都市の近代街路樹100周年の節目に当たり,明治45年,烏丸通に植栽されたユリノキが始まりと聞いております。都市の街路樹は町並みに落ち着きを与え,通りに多彩な表情をもたらしながら,都市の暮らしに潤いと安らぎを提供してくれています。春には若葉の緑に生命の息吹を感じ,夏の炎天下には緑陰を形成し周辺の気温の上昇を抑え,秋の紅葉,冬の樹形はダイレクトに季節感を与えてくれています。このように,街路樹は四季折々の変化を感じさせてくれる最も身近な町並みの自然と言えるものです。しかしながら,京の景観を保つ街路樹も,近年,病虫害や老朽化によって問題が発生しています。例えば,スズカケノキなどはその旺盛な生育から日本中で街路樹として植えられましたが,現在はカミキリムシやグンバイ虫の食害により,景観上も安全上も問題となっております。桜の寿命の問題もあります。これらは樹木の更新を推進することにより解決できると思います。その際,京の町並みにあった樹種の選定により,より都市価値が高められるのではないでしょうか。また,毎年剪定が必要なスズカケノキから,ユリノキなどの2年に1回の剪定樹種にすれば,ランニングコストも下げられると思います。私は,「歩いて楽しいまち・京都」の実現には,緑,とりわけ街路樹の存在が大きく,近代街路樹100周年は,まさに京都のまちづくりの大きな原動力として生かすべきものになると思います。この記念すべき年に当たり,京都の街路樹がこれまで美しい景観を維持し続けてきた理由を検証するとともに,観光都市京都の顔として,「世界遺産のまち・京都」の美しい街路樹景観をどのように守り育てられ発展させていくのか。また,京都街路樹剪定士会等の緑のスペシャリストともしっかり連携していく必要があると思います。お考えをお聞かせください。以上で午前中の質問を終わらせていただきます。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 田中明秀議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時45分休憩〕 〔午後1時00分再開〕
    ○議長(大西均) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 休憩前の一般質問を継続し,田中明秀議員に発言の継続を許します。田中議員。 〔田中明秀議員登壇(拍手)〕 ◆(田中明秀議員) 午前中に引き続き質問をさせていただきます。西京区選出の田中明秀でございます。 本年8月5日,京都市中央卸売市場第一市場に京都府寿司生活衛生同業組合が運営する「京・朱雀すし市場」がオープンしました。また,同市場の北側には府と京都市が京料理の資料展示や調理実習,食の文化サロン等の機能を備えた京の食文化普及啓発施設「京の食文化ミュージアム・あじわい館」を整備される予定です。私は,平成20年の9月定例会の代表質問の中で,「日本料理,京料理をユネスコの世界無形文化遺産に申請するよう国へ働き掛けをしてはどうか」と提案いたしました。その後,農林水産省が日本食文化の世界無形遺産を目指して検討会を立ち上げられたことを受け,京都府においては,会席料理を中心とした京都ならではの食文化を重視するよう政府に提案書を提出されるなど,積極的な働き掛けをされています。これらを受け,本年3月には,ユネスコへ「和食,日本人の伝統的な食文化の無形文化遺産」の登録申請がなされました。しかし,世界無形文化遺産の登録に当たっては,自国内での無形文化遺産の目録への掲載という形での対応にとどまり,文化財としての法的な位置付けがないのが実情です。 我が国固有の感性豊かな文化や四季折々の季節感を反映した盛り付け,理想的な栄養バランス,型や間を重んじる独特のスタイル,精神性や芸術性等,日本料理は重要文化財として位置付けられるものとしてふさわしいと考えます。本市では,世界中の若者が本格的な京料理を京都で学ぶことができるようビザの要件緩和や,芸術家や文化人,研究者,職人が自由に集い,学び,はばたく文化自由都市の創造を目指した取組も進められるなど,食や料理ということに対して常に先導的な役割を果たされてきました。今こそ京料理をはじめとする日本の食文化の継承と更なる発展につながるよう,京都市の無形文化財に京料理を指定するべきです。そして,京料理の芸術性を高めているのが,多種の食器の使い分けです。食材や季節感を考えたそれぞれの和食器の素晴らしさを京都から発信するべきではないでしょうか。ユネスコの世界無形遺産登録へ向けて,日本の食文化の継承,発展に向けて,京都市としてどのように取り組んでいかれるのか,市長の御所見をお伺いします。 以前,「おいしい料理とおいしいお酒があればこの世は天国」というテレビ番組がありました。フランス料理にはワイン,中国料理には紹興酒,日本料理には日本酒。本年2月定例会において,我が会派の橋村芳和議員が日本酒の振興について質疑いたしました。海外の和食ブームと共に日本酒の輸出も伸びているところですが,国内の清酒の消費量は減少傾向が続いています。京都市においては,日本酒振興プロジェクト事業を展開され,「酒スプリッツァーキャンペーン」を実施されたり,今日,明日と約40店舗の飲食店でお薦めの日本酒と料理のセットを共通チケットでハシゴして楽しんでいただける「京都・日本酒ほろよいFesta2012」を開催されるなど,日本酒のイメージ向上や販路拡大に取り組まれているところですが,日本酒で乾杯することなどを含め,いかに日本酒の消費拡大につなげていくのか,日本酒文化を継承していくためにも食と合わせた取組を進めていかなければなりませんが,いかがお考えですか。 また,今年の夏は大変厳しい暑さが続きました。家庭や企業,至る所で色々な節電対策が取られました。本市におきましても,太陽光や風力といった再生可能エネルギーの開発や普及に取り組まれ,7月1日,伏見の水垂埋立処分場跡地に建設されたメガソーラーが稼働しました。住宅向けの太陽光発電システム助成も平成22年度857件から23年度は1,571件と増加しています。他の節電対策として市庁舎内の電灯のLED化の推進にも取り組まれ,新たな予算措置をせず,市庁舎内の各局が今年度の事務費の中で対応可能な購入予定数量を取りまとめ,執務室など約4,000灯のうち約2,500灯を交換されました。しかし,まだまだ遅れているというのが実情です。LEDは高寿命,低消費電力といった大きなメリットがあるにもかかわらず,多岐にわたる特許の縛りや多種類の照明器具にまだまだ対応していないなどの理由により,高コスト,光の直進性,熱に弱いなどのデメリットもあり,大きな普及をするには至っておりません。 また,現在の照明の明るさを表現する単位は,1946年に国際度量衡総会によって定められたものであり,太陽の光の下で人間が良く見える数字が基準となっています。しかし,人間の目は明るい所と暗い所では見え方が違っています。太陽の光,昼間の基準の照明では,夜間に屋外で使用される道路灯や街路灯などに必ずしも最適であるとは言えません。人間が夜間でも今までと同等以上に明るさを感じることができるLEDが出来れば,夜間でも見えやすい光となり,安心安全な道路が実現されますが,夜間に屋外で使用される道路灯や街路灯などの代替LEDについては,視認性による安全性の面から考えても寿命期間のコスト面から考えても満足できる製品がありませんでした。しかし,従来のLED照明のデメリットを解消し,省電力高寿命といったメリットを助長したLEDも日進月歩で開発されています。最近,新技術LEDとして青色発光ダイオードを使用しない製品も開発され,それによって熱が半減し,従来のLEDと比較して寿命が1.5倍から2倍に伸び,取替えの手間なども含めて大きなコスト削減につながるものが製品化されました。庁舎内のLED化は一定めどが立ってきましたが,今後,道路灯や街路灯,また学校や体育館,市営駐車場などの公共施設のLED化を進めるに当たって,本市はどのように取り組まれるのか。また,他の自治体が既に導入しているLED照明導入促進事業補助金等も検討する必要があると思います。市長の御所見をお伺いします。 次に,高齢者の緊急通報システムについてお尋ねいたします。緊急通報システムは,急な病気で手当が必要となったり,火災などの事故が発生した際に,通報装置のボタンを押すと,消防指令センターに通報され,救急者やあらかじめ登録している近所の協力員が現場に駆け付けるというもので,平成2年から実施されています。平成23年度末で1万398人の方が利用されており,平成23年度の1年間には,システムを使っての通報が4,414件もあるなど,自分だけでは緊急の場合に対処することが困難な高齢者にとって大きな安心につながっています。このため,今年度から見直された利用料だけでなく,システムそのものについても高齢者のニーズにより合致したものになるよう取り組む必要があると思います。こうした中,システムによる通報の際に使用する家庭の固定電話については,初期費用の安さなどから,従来のNTTの加入電話ではなく,インターネットのデータ通信網に接続された,いわゆるIP電話の利用が近年増えてきています。総務省の報告によると,平成23年度末において,NTT東日本及び西日本のいわゆる加入電話の契約数が3,135万台あったのに対して,IP電話は2,848万台とこれまでの加入電話に迫る勢いとなっています。現在,IP電話については停電時に使えないことなどから,緊急通報システムの対象機種とはされていません。しかし,今後,高齢社会がますます進展する中で,特に単身高齢者の増加が想定され,このシステムを積極的に利用していただく必要があると考えます。そこで,今日の通信技術の進歩や高齢者の生活形態の変化などを踏まえて,利用者の利便性を第一とし,このシステムの更なる普及のため,最近,利用度が高まっているIP電話の活用もその選択肢の一つとして取り上げ,高齢者が自らの判断で選択できるようにすることも検討すべきではないでしょうか。こうした新たな取組によって,高齢者が安心して地域で暮らせる環境が広まっていくと考えますが,いかがですか。 3年前に誕生した民主党政権は,「コンクリートから人へ」ということを大きく標榜されました。長年,地元が努力されてきた八ツ場ダムの建設が二転三転したり,生活保護費が増大したことの評価は,国民の皆様お一人お一人がされていると思います。我々自由民主党は,長期間にわたって持続可能な国家機能,日本社会の構築を図るため,本年6月,国会に国土強靭化基本法案を提出いたしました。やらなければいけない公共事業はしっかり進めていく。私の地元西京区も来年3月の完成,開通に向け,第二外環状道路や国道9号線千代原口の立体交差事業におけるトンネル部の工事が急ピッチで進んでいます。他の行政区に比べて遅れていたインフラ整備もやっと追い付いてまいりました。あとは太秦天神川で止まっている地下鉄が今後どうなるかであります。平成19年2月市会で,我が会派の大先輩,中村安良議員の質問に当時の桝本市長は,「東西線の洛西延伸につきましては,京都市基本計画にも掲げており,私の悲願です。環境先進都市・京都にふさわしい将来の交通体系の在り方全般を展望する中で,しっかり検討してまいります」と答弁されました。その後,門川市長に代わり,どのように検討されてきたのでしょうか。国の財政支援が必要なこの問題は,コンクリートから人への現政権では難しいでしょう。自民党の政権奪還と共に地下鉄問題が前進することを期待します。LRTやモノレール等いろんな手法を検討し,地下鉄を洛西地域へという西京区民の長年の夢に,市長はどのように応えていただけるでしょうか。 熱い答弁を期待し,私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 田中明秀議員の御質問にお答えします。 まず,地下鉄・市バスの今後の展開についてであります。私が市長に就任した当時,交通事業,とりわけ地下鉄の経営健全化が最も重い課題であり,今日まで全力で取り組んでまいりました。平成23年度決算では,両事業とも経営健全化計画を上回る収支改善を実現することができ,計画は着実に推進できております。とりわけ収支改善の鍵である利便性の向上,増客の取組につきましては,市バスでは,例えば河原町通での3分間隔の等間隔運行,観光系統の増強,水族館の開業に合わせた運行の充実等を図ってまいりました。また,地下鉄では,夜間時間帯の増便やシンデレラクロスの効果等もあり,1日当たりのお客様数は平成22年度には3,000人増,23年度には4,000人増,さらに本年8月末時点では,昨年同時期に比べ1日約5,000人増と,着実にお客様は増えているところであります。収支は改善されてきていますが,依然として巨額の借金,借入金残高4,500億円を上回っております。厳しい経営状況にございます。経営健全化計画3年の実績を踏まえた,今後4年間の新しい経営方針策定を交通局に指示しております。具体的には,市バス事業では,一層の利便性の向上とバス待ち環境の充実,効率的な事業運営に努めることにより,計画では平成27年度といたしております,経営健全化団体からの脱却を前倒しで達成することを目指します。また,地下鉄事業では,市民や企業の皆様の御協力の下,あらゆる政策を総動員して1日5万人の増客に努めるなど,経営健全化を着実に推進してまいります。これらの内容を盛り込んだ中期経営方針を11月に策定し,今後の方向性をしっかりとお示ししたうえで,更なる経営改善の実行とお客様第一のサービスの向上に,全力を挙げて取り組んでまいります。 次に,駅ナカビジネスについてであります。駅ナカビジネスは,地下鉄・駅の利便性の向上とにぎわいの創出,周辺地域の活性化と共に経営健全化にも大きく寄与する事業であります。その収入は,平成19年度には5,000万円程度でしたが,四条,御池,京都へとコトチカ事業を展開し,今年度には経営健全化計画に掲げる5億円の目標を一年前倒しで達成いたします。先週開業したコトチカ京都は,六つの店舗とコトチカ広場を整備し大変にぎわっており,来春には更に三つの店舗と快適なお客様用トイレを整備し,グランドオープンいたします。こうした本市の駅ナカビジネスは,交通局職員自らが知恵と工夫をこらして企画,運営しており,限られた駅構内で自分たちの執務スペースを削減するなど,あらゆる努力により店舗スペースを捻出し,さらに関西初出店の店舗の誘致等に努め,大きな成果を上げております。今後も,「地下の心弾むワクワク空間」として,旅客数の多い北大路駅,あるいは山科駅へのコトチカの新設や更なる店舗の拡充など,それぞれの駅の特性を踏まえた展開を,関係者の御協力も得て,積極的に図ってまいります。地下鉄の経営健全化期間である平成30年度には,平成19年度の約20倍,現行の計画から倍増となる10億円の収入を目指してまいります。 次に,上下水道事業の次期経営計画における老朽化した水道管の更新,災害対策についてであります。洛西地域の水道管の事故では,市民の皆様に多大な御迷惑をお掛けいたしましたが,上下水道は,市民生活や事業活動を支える極めて重要なライフラインであり,いついかなる場合もその機能を確保しなければなりません。そのため,老朽化した水道管の更新,災害対策は喫緊の課題であり,現在の水道管の更新率0.5パーセントを早急に大きく引き上げる必要がございます。そこで,上下水道事業の次期経営計画につきまして東日本大震災や洛西地域での事故等を教訓として,老朽水道管や施設の更新,災害対策を最重要課題に位置付けて,より一層強化する計画の策定を指示いたしております。現在,上下水道料金制度審議委員会におきまして,料金体系を審議する中で,施設更新の財源についても議論されております。施設の更新や災害対策には多額の経費を要するところであり,徹底した経営効率化の推進に併せて,審議委員会の意見書を踏まえまして,必要な財源の確保方策についても検討してまいります。 次に,リニア中央新幹線の誘致についてでございます。昭和48年の計画ルートは,第2新幹線すなわち東海道新幹線の老朽化や事故に備えた代替の役割も果たすルートとして決定されたものであり,リニアを前提としたものではございません。新たな国土軸であるリニアのルートについては,日本の未来を見据えて改めて議論することは当然のことであると考えております。またリニアが東京と大阪をわずか67分で結び,東海道新幹線にかわって新たな国土軸となった場合には,のぞみの運行本数は激減してしまい,「のぞみがあるから大丈夫」とは言えません。 そこで,重要なことが3点ございます。1点目は,「京都駅ルートの実現」であります。京都は1000年を超えて,文化,学術,宗教,ものづくり等の中心地として我が国を牽引し,人々を魅了し続けてきた都市であり,今日精神的な価値が重視される時代を迎える中で,京都駅コースの実現は,関西ひいては我が国の将来にとって大きな意義を持つものであります。2点目は,「東京・大阪間全線の同時開業」であります。大阪までの開業が,東京・名古屋間の開業から18年も遅れることとなれば,東京一極集中を加速しかねません。そして,3点目は「関西全体の活性化を図るため,国際拠点空港である関西国際空港と大阪,京都までをリニアで結ぶこと」であります。リニアの誘致を実現するためには,まず何より京都市民の皆様の盛り上がりが重要であります。そのうえで幅広い力を結集しなければ,国を動かすことはできません。京都府はもとより,経済界,文化,学問,宗教界,関西広域連合等とも十分連携し,市会の先生方の御支援を賜りながら,京都を愛するすべての方々の力を結集し,京都,そして日本の未来のために全力で取り組んでまいる決意でございます。 次に,日本の食文化の継承,発展に向けた取組についてでございます。田中議員御指摘のとおり,日本料理,とりわけ京料理は,器や部屋のしつらえも含めて,おもてなしの精神で人々の心までも満たしてきた最高の文化であります。この度,来年度ユネスコ無形文化遣産登録に向けて,国の文化審議会が「和食,日本人の伝統的な食文化」を日本の最優先案件に位置付けましたが,本市といたしましても,登録の気運を盛り上げるため,国,府,料理関係団体と連携いたしまして,日本料理文化博覧会を本年11月に開催するとともに,12月には京の食文化の魅力を発信する「京の食文化ミュージアム・あじわい館」を京都中央市場内に創設いたします。なお,現行の文化財保護制度の下で京料理を京都市の文化財に指定することにつきましては,その定義や範囲,保存団体の特定など多くの課題がございます。そのため,京料理など京都に伝わる伝統的な文化の価値を再認識し,そのすばらしさを国内外に発信するとともに,次代に伝えるための京都独自の新たな仕組みの創設など,より効果のある手法を関係者の英知を結集して検討してまいりたいと考えております。 また,日本酒の振興につきましては,日本酒振興プロジェクトの中で,日本酒と京料理をはじめとする食とのコラボレーションに加えまして,京焼,清水焼のお猪口のセット販売など,京都ならではの様々な伝統産業との連携事業も展開いたしております。今後とも,市民や事業者の皆様との連携を深め,「日本酒で乾杯」を徹底して奨励するなど,日本酒の消費拡大と共に,日本の食文化の継承,発展に全力を尽くしてまいります。 次に,洛西地域における公共交通についてでございます。地下鉄東西線の洛西延伸につきましては,私にとっても長期的な夢ではあります。平成19年2月市会で桝本前市長が,「東西線の洛西延伸は悲願ではあるが,現行の地下鉄建設の補助制度の下では大変難しく,ましてや地下鉄事業が巨額の負債を抱えるなど厳しい本市財政の下では,早期の実現は困難な状況にある」と断腸の思いで御答弁されたことを今も私は鮮明に記憶しております。この間,国に要望し続けておりました1メートル3,000万円もの多額の費用を要する地下鉄建設に対する国の補助率は改定されず,また,4,500億円を超える地下鉄事業の借入金残高を抱える本市の財政状況を勘案したとき,誠に残念ではありますが,延伸を取り巻く環境は今なお厳しいと言わざるを得ないことを御理解賜りますようお願い申し上げます。 こうした状況の下,「歩くまち・京都」総合交通戦略の先行実施プロジェクトとして,平成20年度から洛西地域を運行する京阪京都交通,阪急バス,ヤサカバス並びに市バスのバス事業者4者,JR西日本,阪急電鉄の鉄道事業者2者が,京都市の呼掛けにより同じテーブルに着いていただき,事業者の枠を超えたバスダイヤの編成や停留所施設の改善を行うなど,公共交通の利便性向上に努めてまいりました。その結果,平成23年度のバス利用者数は,平成21年度と比べ約31万人増加いたしております。引き続き,地域の皆様と一体となって考え,取り組むことにより,洛西地域における公共交通の利便性向上を力強く推進してまいります。また,将来的には,洛西地域にふさわしい新しい交通システムについて検討してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 節電対策としてのLED化の推進についてでございます。東日本大震災以降,徹底した節電,省エネ対策が求められており,家庭や事業所等において電力消費の多くを占める照明のLED化の推進は,極めて効果的な取組であります。このため,学校施設においては,全面改修や改築等の機会を捉え,順次導入を進めるほか,道路照明灯につきましては,今年度から,生活道路において新設する際にLED照明灯を設置することとしております。また,民間事業者のLED照明導入に向けては,平成20年度から,省エネ設備を導入する中小事業者に対する補助事業を実施してきたほか,昨年度からは街灯のLED化を行った商店街に対して経費の一部の助成を行っております。LED照明は,性能向上と価格低下が急速に進んでいる状況であり,国が進めているLED照明への切替えキャンペーンとも連携しながら,その環境性能や経済性についての啓発を強化するとともに,公共施設や民間事業者における照明のLED化について,更に積極的に推進してまいります。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 街路樹景観についてでございます。街路樹は,四季折々の変化を感じる身近なまちの自然であり,まちに潤いをもたらすだけでなく,ヒートアイランド現象の緩和や,CO2の吸収により温暖化防止にも大きな役割を果たしております。市内の街路樹は,京都に培われた伝統的な造園技術と共に,市民の皆様の御協力の下に美しく守り育てられてきました。鳥丸通の中央分離帯にケヤキを植栽する「道路の森づくり事業」についても,京都商工会議所や国際ソロプチミスト京都など,多くの団体や企業からの御寄附を頂きながら取組を進めております。また,本年が近代街路樹100周年に当たることから,京都市造園建設業協会と共催でシンポジウムを開催するなど,「京の近代街路樹100周年記念事業」を実施し,先達の街路樹に対する理念や技術を継承,発展させてまいりたいと考えています。今後とも,街路樹の育成,発展に向けては,紅葉の美しさと落ち葉問題などとの両立を図る京都市独自の紅葉街路樹二段階剪定などに取り組むとともに,田中議員御指摘のとおり,伝統技術を継承する造園業者や街路樹剪定士などの専門家の方々と連携しながら,街路樹景観をより一層進化させ,美しい京都の景観を創造してまいります。 ○議長(大西均) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 緊急通報システムの対象回線の拡充についてでございます。本システムは,急病や事故等の緊急の場合に自分で対処することが困難な方にとって有意義なものであり,その普及が非常に重要であると考えております。対象となる回線につきましては,これまでNTTのアナログ回線のみとしておりましたが,議員御指摘のとおり,社会情勢の変化の中でIP電話利用者が急増しており,本システムの対象に加えてほしいとの要望が多く寄せられております。このため,より多くの高齢者の方に本システムを御利用していただけるよう,この間,事業者等との協議を重ね,実施のめどが立ったことからIP電話も本システムの対象とした制度として,11月初旬から受付を開始すべく準備を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,吉井あきら議員に発言を許します。吉井議員。 〔吉井あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(吉井あきら議員) 私は自由民主党京都市会議員団,山科区選出吉井あきらでございます。井上,中川,田中明秀,先輩,同僚議員に引き続き,自民党議員団を代表し,山科区民,市民の皆さんの思いを市政に届けるべく質問させていただきます。 今,「真面目に頑張っている人に光が当たらない」とよく言われます。私は1期目の選挙から訴えてきましたが,真面目に頑張っている人がばかを見ない,頑張っている人が評価される世の中でなければおかしい。また,そうでなければみんなは働かなくなり,国はすぐに崩壊すると思います。また,今,世の中において様々問題が起こっておりますが,あらゆる課題がある中で社会全体が批判,そして当事者を徹底的にやり込めることに明け暮れている毎日。そんなことの繰返しで全く好転はしません。大切なのは二度と同じ失敗を繰り返さないよう批判だけで終わらず,前向きに進めていくことと思います。「誰が政治をやっても一緒」,そんなお声をよく聞きます。しかし,あきらめたら終わりであります。政治が変わらなければ何も変わらない。今,政治を変えなければならない,変わらなければなりません。しかし,ただ単に政治,また様々な制度を幾ら変えても何も変わることはなく,要は我々国民の意識が変わらなければ,何も変わることがないということです。我々国民は行政に対し,「あれをこれを」だけではなく,自分たちの力で変えていくべきところは変え,守るべきところは守る,その思いで政治に携わり進めていくこと,そして自由を訴えることだけではなく,その背中合わせにある責任,義務を果たし,生まれ育った地域,日本を愛し,日本人として誇りを持って生きていくことが大切だと考えます。すべての根幹は教育,教育再生,その思いで本日の質問に入ります。 私は,歴史と伝統を重んじ,正しい道徳心,倫理観,価値観を持ち,家族を思い,社会的弱者を大切にする心を持つ日本人を誇りに思っています。そして皇室が,このような日本人の心の支え,より所であることは申すまでもありません。今から144年前に明治維新が行われ,明治天皇が東京へ行幸されました。そして皇室が,東京で住まわれるようになられてから長い歳月が流れました。しかしながら,今でも「ちょっと東京へ行ったはる」と,多くの京都市民の皆様はそう思っておられると思います。昨年3月,我が国は未曾有の大震災を経験いたしました。その中で,政治,経済,人口などあらゆる面において,東京,首都圏への一極集中が問題であることを強く考えさせられるようになりました。東日本大震災での教訓を踏まえつつ,首都圏での非常事態に備えて,早急に首都機能のバックアップ構造を構築することが求められています。そのためには,私は,近畿が首都機能バックアップエリアとしての役割を担い,首都圏と近畿圏とが共に発展していくことが,リスク回避,危機管理を備えた安心安全な国づくり,さらには日本全体の発展につながると考えています。そして,皇族の方々に京都にお住まいいただく双京構想を実現させることが,日本人の精神的支えである皇室の安心安全の確保に万全の態勢を整えることと考えております。聞くところによりますと,京都の未来を考える懇話会や関西広域連合においては,双京構想に向けた取組がなされていると伺っております。「京都に,皇族の方々にお住まいいただこう」と願う声が広がりつつある中,今まさに,双京構想の実現に向けて前進すべきであると考えます。そこで市長にお伺いいたします。双京構想の実現を目指したこの間の取組と共に,市長の思いをお答えください。 次に,教科書採択,歴史教育についてお伺いいたします。現在,日本固有の領土である竹島に対し,韓国による不法占拠や,尖閣諸島周辺での中国の漁船による違法な操業等が,我が国の外交上の大きな課題となっています。竹島や尖閣諸島が我が国固有の領土であることは,歴史的事実に照らしても国際法上も明らかであるにもかかわらず,最近の韓国や中国の目に余る行動,特に中国の暴徒化したデモ,そしてまた韓国大統領の天皇陛下に対する発言は常軌を逸しているとしか言いようがありません。こうした報道を見ている若者が,日本という国の誇りや主権についてどのように受け止めているのか,その負の影響を本当に心配しているところです。そして同時に,これまでの我が国の中学校での教科,とりわけ歴史教科について真に日本人が受け継ぎ,育むべき伝統や文化,日本人としての誇りを教えることができていたのか,自虐的傾向が強過ぎたのではないかという疑問を感じざるを得ず,このことをしっかりと是正していかなければならないと考えます。 そうした中,平成18年,自民党安倍政権下において約60年ぶりに改正された教育基本法や,それを踏まえて改正された学校教育法,新学習指導要領では,正に未来の主権者たる子供たちが,情報や経済活動等あらゆる面でより一層ボーダレス化する国際社会において,しっかりと自立して生き抜くための指針,「我が国と郷土を愛する」,「伝統と文化を尊重」,「公共の精神」などの徳目が新たに教育目標として明記されました。私は,昨年の教育福祉委員会においても指摘させていただきましたが,こうした法改正の主旨をかんがみれば,例えば外国人参政権に関する記述や領土問題に関する記述を見たとき,本市で使用されている教科書には,不満を感じている者の一人であります。「現場に教師がいるから大丈夫」とおっしゃるかもしれません。しかし,子供たち自身は,何度も何度も繰り返し教科書に目を通し,教科書から多くのことを学び,そこに記載されていることを正しい考え方として受け入れていきます。そうした意味においても,北方領土や竹島,また尖閣諸島の問題を単なる領土問題ではなく,その違法性までしっかりと記載されることが必要であり,そのうえで子供たちに,先人から受け継ぎ守ってきた領土とは何か,国とは何かを教え,そこを立脚点として,このますます混とんとする時代を生き抜く力,国際社会の平和と発展に寄与する態度を育んでいくことが重要だと考えます。制度上,地方の教育は教育委員会が責任を持つことになっています。そういった意味におきましても,「国の検定を通っているから,どの教科書を採択しても問題ない」という理屈は通りません。本市の次期教科書採択では,是非とも子供たちにしっかりと日本人であることの誇り,そしてこの社会を築いてくれた先人への感謝の気持ちを育むことのできる教科書が採択されること,そして何より責任ある採択であること,それが当然だと考えますが,いかがお考えですか,お答えください。 また,併せて教育長にお聞きします。今年の夏,我々日本人は,遠く離れたロンドンの地で,国旗である日の丸を胸に,郷土と国民の期待を背負い戦う青年たちから,多くの感動をもらいました。オリンピックに限らず,こうした日本人としての誇りを持って生きる多くの青年たちや,さらに,その次の世代を育てるために学校教育の果たす役割は大きく,子供たちが自国に誇りを持ち,自国を愛する心を養う教育に本気で取り組んでいただきたいと考えていますがいかがですか,お答えください。 次に,いじめ問題についてお伺いいたします。昨年10月,私の選挙区である山科とも隣接する大津市の中学校において大変悲しい事件が発生しました。この事案については,個人的に調査しましたが,私自身は,学校内で起こったことを学校だけで抱え込んで,学校だけで解決しようとする,これまでも指摘されている学校の閉鎖的な体質,また,あらゆる対策が後手に回ってしまったこと,同時に一言では言えない様々な問題が原因と感じています。本市においても,まだ認知に至らないいじめ,悪質な嫌がらせ等も含め,児童生徒の問題行動は依然厳しい状況にあり,加害,被害双方の子供たちのために,問題の未然防止と早期発見,早期解決に,学校は言うまでもありませんが我々親,大人もしっかりと責任持って取り組んでいくことが大切であります。 こうした中,私は,市会議員1期目から学校内での生徒同士や教師に対する暴力行為,また,いじめといった児童生徒の問題行動について,何度も質疑させていただいてきました。その中で常に申し上げてきたことは,「学校も決して治外法権ではない,社会で許されないことは学校内でも許されない」という毅然とした態度で対応していくことが大切であるということです。何よりいじめられ,自殺を考えているかもしれない子供たちにとってみればきれいごとだけではなく,今すぐ警察に対応してほしいと思っているに違いありません。クラスメートも,「かばえば逆にいじめられるかもしれない」という恐怖で見て見ぬふり,私は最後の最後,親が命掛けで守ってあげるしかほかないという風に思います。しかし自身親として,そのシグナルに気付けるか自信もありませんし,多くの親御さんたちも同じ思いだと思います。私は地元の中学校に子供を通わせており,先生方ともお話させていただく機会があります。正直,教育者の中で力不足の先生もおられるかもしれませんが,ほとんどの先生方は,体罰うんぬん,ほぼ丸腰の状態,連日問題が起こらない日はない中で,子供たちの指導や深夜にも及ぶ家庭訪問,保護者対応など,本当に大変な状況に直面しつつ,学校という最前線で,問題行動を起こす生徒に対して,徹底的に向き合い,何とかこの子供の更生につながるようにと努力されていると思います。しかし,やはり担任や生徒指導の先生だけでは限界があります。学校長がしっかりとその後ろ盾になることはもちろん,情報を学校だけで抱え込まず,でき得る限りありのままの事実を保護者や地域に知らせ,地域全体でそのことを受け止め,学校,保護者,地域が一致団結して解決に向けて取り組んでいく,そして,必要な場合には関係機関や警察とも連携していくことが,問題行動を行う生徒への抑止力や,長い目で見たときにその子供自身の将来のためにもなると確信していますし,当然,その他の多くの生徒が安心して学校生活を送ることができることになると思います。ただ,個別の事案は別にして,私は基本的に学校であろうがどこであろうが,子供に対しての責任は親にあると考えます。すべて学校が悪い,先生が悪いではなく,まず我々親に第一義的な責任があることをしっかり認識し,取り組むことが大切と考えます。 そこでお伺いします。先ごろ文部科学省は,外部人材を活用した支援体制や元警察官の派遣拡大等を柱として,国が直接いじめ対策に乗り出す新たな施策を打ち出しましたが,私は,現場に課題があるのであれば,その解決策も現場にあると信じており,先に申し述べました学校の先生方の地道な実践を引き続きお願いしますとともに,学校だけで抱えるのではなく,地域社会全体で取り組んでいかなければならないという思いを強くしており,一層の警察をはじめとする関係機関との連携が重要になると考えます。教育長の御所見はいかがですか,お答えください。 次に,生活保護制度についてお伺いいたします。京都市では,平成24年度当初予算として788億円の生活保護扶助費の予算を計上しており,本市の一般会計予算の1割を超える状況に至っています。また,財政面はもちろんのこと,芸能人の母親の保護受給に端を発した扶養義務の取扱いに係る問題,医療機関による患者の囲い込み問題などがマスコミをにぎわし,また,政府において検討されている生活支援戦略においても生活保護制度の改正案が議論され,報道されるなど,生活保護制度の在り方は,かつてないほどに国民の注目を集めております。 そんな中,京都市では6月に国に対しこの制度について要望されました。その背景として現在の生活保護法第29条に基づく調査権限については,「調査対象事項が資産及び収入の状況に限定されていること」,「保護廃止世帯について調査権限が及ぶか明確でないこと」,「調査先となる金融機関等に回答義務がないこと」などが上げられます。7月に指定都市市長会でも意見として取りまとめられましたが,適正化のためには調査範囲の拡大だけでは不十分であり,調査先の回答義務及び合理的な理由なく回答を拒否する場合の罰則が不可欠であり,この2点については国がしっかり制度改革を行っていく必要があります。一方,京都市として働くことができる方にはしっかり働いていただくために就労支援を推進,そして,不正に対しては行政が毅然と対応し,制度に対する市民の理解と信頼をしっかりと得ていくことが必要と考えます。 このうち,就労支援については依然として厳しい雇用情勢が続く中ではありますが,より一層の推進が必要です。現状,福祉事務所のケースワーカーは厳しい体制の中で日々就労支援や就労指導に取り組んでおられることと思います。こうした中,ハローワーク等の関係機関との連携により,よりきめ細やかな支援を含めて,就労による自立に向けた取組を今後も一層進める必要があると考えますが,本市の取組の状況と今後の取組をお尋ねします。また,不正に対する行政の毅然とした対応について,生活保護費の不正受給は,それがたとえ少数であっても,制度に対するモラルハザードを引き起こすなど,制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題と考えています。制度を悪用する不正受給に対しては毅然と対応し,制度に対する市民の信頼を確保することが是非とも必要です。京都市では,平成23年度に,部長級を筆頭とする適正化推進担当を局内に設置し,複数班体制による悪質な不正受給事案への告発や不正請求を行う指定医療機関等への指導についても取り組んでいると聞いておりますが,不正受給対策をはじめとする適正化の推進に関する本市の現在の取組状況と,不正受給根絶に向けた決意をお答えください。 次に,ショートステイの食費についてお伺いいたします。ショートステイにつきましては,高齢者のみならず,家族の方への支援としても大変重要なサービスであります。このショートステイ利用中の食事代については,介護サービスとは別に利用者と施設とが直接契約を結ぶ制度であるため,その価格は各施設が独自に設定する仕組みであります。そのため食費の設定方法も1食単位の所と,1日単位の所が混在しており,1日単位で食費を設定している施設におきましては,食事の回数にかかわらず1日分を徴収されることから,利用者に理解が得られにくいという状況があります。私は,市民の方からこうした切実な声を再三にわたり伺い,現行の国の指導指針には,大きな課題があると認識しており指摘してまいりました。介護サービスを利用する方が,納得して利用できる環境を整えていくことが重要であることから,この問題については,早急に改善が図られるべきであるとの認識に立ち,我が自由民主党市会議員団をはじめ,他会派の御賛同も得て,本年2月市会において「介護保険におけるショートステイの食費の1食単位での設定義務付けを求める意見書」を京都市会として国に提出したところであります。 こうした中,いわゆる地域主権改革一括法の施行により,介護保険サービスや施設の設備運営に関する基準について政令市では条例で定めなければならないこととなりました。京都市では,この程,このショートステイの食費の1食単位での設定を盛り込んだ「高齢者福祉施設等の基準に関する条例骨子案」を公表され,現在パブリックコメントを行っているところですが,今回,この問題を条例に盛り込むこととした京都市の考え方についてお聞かせください。また,今後議会での審議を経て,1食単位の設定が義務化されるようになった際には,この基準がそれぞれの施設で徹底されるよう,京都市としてどのように取り組んでいくのか,お答えください。 次に,介護保険についてお伺いいたします。介護保険制度は,発足から12年が経過し,市民生活に着実に浸透してきており,既になくてはならない制度となっております。今回私が伺いたいのは,介護保険サービスの一つである福祉用具購入費についてであります。福祉用具は,介護が必要な高齢者の在宅生活を支えるために有効な手段の一つとして,多くの高齢者が御利用になっておられます。例えば,車いすや介護ベッドが代表的なものとしてよく知られているところであります。そのうち車いすなどレンタルで利用できるものについては,利用者はレンタル料の1割を負担するだけで使えますが,ポータブルトイレのように,直接肌に触れるためレンタルになじまないものについては,利用者が購入時に一旦全額を負担し,後に9割分の保険給付を請求する仕組みになっています。こうした中,物によれば購入時に一旦10万円近い高額な負担が必要となるケースもあり,とりわけ低所得の高齢者の方々には大きな負担となっております。そこでお尋ねします。私は高齢者の在宅生活を支えるためにも,また今後,高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援するためにも,既に導入されている住宅改修費と同様に,福祉用具購入費についても,一時的な高齢者の負担を取り除き,早急に他のサービスと同様,1割分の負担だけで利用できるようにすべきだと考えますがいかがですか,お答えください。 次に,大学政策についてお伺いいたします。京都市は,数多くの大学や短期大学が集積する都市の特性を生かしたまちづくりを進めるため,大学振興を市政の重要な柱の一つと位置付けています。その取組は,昭和60年に大学問題対策委員会を設置したところにさかのぼるとお聞きしておりますが,今日の大学を取り巻く環境は非常に厳しさを増しております。入学者の母数となる18歳人口の減少,大学間競争の激化等の課題への対応が急がれる中,私は京都が大学のまち・京都,学生のまち・京都であり続けるよう大胆な大学政策を望んでおりますが,京都市として更なる発展に向けた今後の展開をどのようにお考えなのか,お聞かせください。 佛教大学の二条キャンパス,京都産業大学の五条壬生川新キャンパスが完成し,また同志社大学の新キャンパスもいよいよ竣工すると聞いております。そして,山ノ内浄水場跡地に京都学園大学を誘致し,平成27年にキャンパスが開設されることも発表されております。さらに,左京区役所跡地を京都大学に活用していただく方向で協議,調整を重ねているともお聞きしています。京都大学ではグローバル社会を牽引するトップリーダーを養成するための新しい大学院を設置するとお聞きしておりますが,こちらの現在の状況はいかがですか,お答えください。 最後に,地元山科についてお伺いいたします。天智天皇,藤原鎌足ゆかりの大変歴史深い山科は,これまで発展し続け,現在は人口約13万6,000人となりました。そんな山科の中心部に位置します,昭和2年に京都市中心部から山科に移転された敷地10万7,035平米の京都刑務所。考えてみれば驚くほどの広大な土地であり,今後の京都市の発展のためにも,この土地の活用に向けた取組を検討することが必要不可欠であると私は考えております。第2期山科区基本計画を策定するに当たっては,平成21年に山科区民の方に,区内のあらゆる地域,分野を網羅した課題の抽出をしていただきました。その中で,山科区の将来像について,区民の皆さんから,まちづくり,まちの魅力についての御意見として,「京都刑務所の移転を進め,今後の活用方法を模索すべき」とあります。京都刑務所を管轄している国とも協議し,市としても地下鉄の赤字など,厳しい財政状況の中,何より京都市,山科区発展のため,綿密な計画の下,京都刑務所の移転を検討し,その跡地に地下鉄の増収,増客に貢献する,例えば大学の誘致など,あらゆる知恵を集め進めていただきたいと思いますがいかがですか,お答えください。 最後に,我が自民党は安倍晋三元首相を新総裁に選びました。反省とは過去をしっかり省みることです。政権奪回に向け,国民の皆さんに信頼されるよう我々自由民主党市会議員団も力を結集し,より一層すべての活動に全力を傾注することをお誓いし,代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉井あきら議員の御質問にお答えいたします。 まず双京構想の実現についてであります。歌人としても大きな足跡を残された明治天皇は,その生涯において多くの歌を詠まれました。その中で京都を懐かしんで詠まれた歌が数多くございます。その一句一句に京都をしのび,懐かしまれる思い,京都を深く愛しておられる思いがひしひしと伝わってまいります。今日,日本の政治経済の中心地は東京であります。しかし,日本の文化の中心は,1200年を超える悠久の歴史の中で伝統や文化を育みながら,国内外の人々を魅了し続けてきた世界の文化首都・京都にあります。そして京都には京都御所をはじめ皇室ゆかりの桂離宮,修学院離宮や数多くの門跡,寺院などが存在し,それらを京都市民の皆様が訪れ,親しみ,伝統行事を大切にされるなど,皇族の方々にお住まいいただくにふさわしい都市であると私は確信いたしております。 吉井議員御指摘のとおり,東日本大震災の教訓を踏まえ,首都中枢機能のバックアップ体制の構築と共に,日本人の心の支えである皇室の弥栄のために,安心安全の確保に万全を期すことが大変重要な課題であると認識いたしております。このため京都市におきましては,来年度の「国の予算・施策に関する提案・要望」において,皇室の方々に京都にお住まいいただくことを御提案いたしました。またこの間,京都市が正式に加入した関西広域連合も同様の提案を国に行い,さらにオール京都で京都の未来像を描く「京都の未来を考える懇話会」におきまして,東京だけでなく京都にも皇族の方にお住まいいただき,東京と京都が都としての機能を双方で果たす双京構想を提案いたしております。そうした中,私は本年7月に山田知事,松本京大総長,柏原京都市観光協会会長と共に双京構想の実現に向けて国へ要請を行ったところであります。今後とも京都の持つ1200年を超える皇室との深いゆかりと,京都市民の皆様の皇室に対する温かい思いを大切にしながら,京都が日本の未来のために果たすべき役割として,強い使命感を持って市民の皆様と共に双京構想の機運を醸成させ,その実現を目指して全力で取り組んでまいります。 次に,生活保護の適正化についてでございます。生活保護行政の推進に当たりましては,必要な方に必要な施策を実施し,市民が安心でき,かつ市民に信頼できる制度となるよう,一つは,「きめ細かな就労支援による自立に向けた取組の推進」,二つは,「不正受給を許さず,徹底して排除する取組の推進」,三つは,「調査権限の強化や,また年金,最低賃金等他の社会保障制度との整合性のあるものに制度の抜本的な見直しと国への要望」,この3点を柱にして全力で取り組んでまいりました。まず就労支援につきましては,昨年度就労経験が少ないなどの課題が多い方に対する専門的なカウンセリングや,能力や希望に応じた求人を開拓する取組により,約1,200名の方の就労支援を援助する中で,約5割となる600名近い方が就労等に結び付いたところであります。加えて,今年度は,私のマニフェストにも掲げているハローワークの就労支援コーナーを本年12月の初旬から,区役所・支所,洛西と醍醐,そしてひとり親家庭支援センターの3箇所に開設することにより,一層集中的な就労支援を行ってまいります。さらに国に対しては,すべての区役所・支所等での実施を積極的に働き掛けてまいります。一人でも多くの方が仕事に就かれ,自立した生活を送ることができるよう強力に取り組んでまいります。 次に,不正受給につきましては,制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題であり,担当部長以下6名の適正化推進担当を中心に強力な取組を展開しております。京都府警とも緊密に連携し,これまでに6件の悪質な不正受給者の告発を行うとともに,3件の指定医療機関等の指定取消しを行うなど,厳正な取組を進めております。今後とも「不正受給は断固として許さない」,この決意で根絶に向けた徹底した取組を進めるとともに,国に対しては調査権限の強化など制度の改革を強く求めてまいります。 次に,ショートステイの食事についてでございます。ショートステイの食事につきましては,吉井議員御指摘のとおり,1食単位で設定されるべきものであり,かねてから本市として国に対し改善を強く要望してまいりました。また本年2月市会において,「1食単位の設定を明確にするよう国に求める意見書」が自民党市会議員団の発案により全会一致で議決されたところであり,これらが契機となって,その後原則1食単位とすべきという国の指導強化につながったものと考えております。本市におきましては厳正な指導を行うよう指示した結果,本年10月分には市内126箇所すべての事業者が1食単位になる見込みでございます。こうした中,いわゆる地域主権改革一括法に基づく権限移譲により,本市の条例によって1食単位での設定を義務付けることが可能となったことから,介護サービス事業の運営等の基準を定める条例として11月市会に提案させていただき,御議決していただければ,事業者指定や実地指導等を通じまして,徹底を一層図ってまいります。 次に,介護保険におきます福祉用具購入費についてでございます。介護保険制度における福祉用具は,心身の機能低下等により日常生活に支障が生じた高齢者が住み慣れた自宅等で快適に過ごしていただけるよう利用していただくものであり,私の目指す京都市版地域包括ケアシステムの構築に欠かせないものでございます。現在福祉用具の購入に当たりましては,全額を御負担いただいたうえで,後ほど9割分が返還される仕組みとなっておりますが,近年,例えば5万円以上の高額な福祉用具の購入が年間1,000件を超えるなど大幅に増加しており,吉井議員御指摘のとおり,購入時の負担の軽減が急務であります。このため購入時の本人負担分を費用全体の1割にとどめ,残り9割分は本市から事業者に直接お支払いする受領委任払制度の導入について鋭意事業者等と調整を行っているところであり,本年12月1日から開始に向けて取り組んでまいります。 次に,大学政策についてでございます。京都市内に集積する38の大学,短期大学においては,個性豊かな研究,教育の展開を通じて新産業につながる先端技術や優れた文化,芸術を生み出すなど,京都の発展にも大きく貢献してきていただきました。京都市が平成5年に大学政策の基本計画を策定するなど,全国に先駆けて大学振興に取り組み,これまでに我が国初の大学連携組織,大学コンソーシアム京都の創設や京都駅横にキャンパスプラザの開設,また近年相次ぐ市内での大学の新キャンパスの展開へとつながっていったものであり,これからも支援を続けてまいります。今後の大学政策の指針となる新たな推進計画の策定準備を現在進めており,その中において少子化や大学間競争などの課題,グローバルな人材育成や留学生の受入拡大,地域社会の連携強化などの新たな要請に応える施策を盛り込み,大学のまち・京都の更なる発展をより確かなものとしてまいります。 次に,左京区役所の跡地につきましては,京都大学において過去に例のない世界最高水準の教育研究を展開する大学院を創設し,高い研究力に加え,優れた俯瞰力,独創力を兼ね備えた人材の育成を計画されており,これまで譲渡に向けた協議を重ねてまいりました。この度大学において用地取得の準備を整えられたことから,今年度内に譲渡したいと考えております。今後も産・学・地域との連携をより深め,京都が世界的な大学都市として確固たる地位を築けるようさらに努力を重ねてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 京都刑務所についてでございます。京都刑務所は昭和2年に現在地に移転されました。その当時,辺りは田畑や竹やぶが一面に広がる地域でありましたが,高度成長期を経て京都刑務所周辺には多くの住宅が建てられ,さらに地下鉄東西線の開通により,交通利便性が格段に高まってまいりました。このような状況から,京都刑務所の移転とその跡地の有効活用について区民の皆様から要望をいただいていることは承知しておりますが,京都刑務所は昭和61年から平成13年までの約15年間を掛けて建替え工事が行われ,施設の機能強化が図られたところであり,国においては,現在のところ京都刑務所の移転は考えていないと伺っております。また国の基本的な考え方として,移転に当たっては適切な移転候補地の提示,受入先の協力などの条件が整わなければ移転の検討は行わないとの考えが示されており,移転については残念ながら現時点では困難であると考えております。しかしながら,京都刑務所が移転し,その跡地の活用が図られれば,吉井議員御指摘のとおり,山科区ひいては京都市のまちづくりに大いに寄与することから,また私も同感でございまして,今後研究を深めてまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 教科書採択等についてでありますが,教科書は子供たちにとって最も基本となる重要な教材であり,本市では教育委員会が選任する教員,保護者等が参画する選定委員会において調査研究,選定を行い,その答申を受け,教育委員会の権限と責任の下で厳正かつ公正な採択を行ってまいりました。そうした中で議員御指摘の日本人であることの誇り,現在の社会を築いた先人への感謝の気持ちを育むことは,これからの京都,そして日本を担う子供たちにとって極めて大切であると認識いたしております。そうした認識の下,教科書の選定に当たりましては,「公共の精神や伝統と文化の尊重」,「我が国と郷土を愛する態度を養うこと」などを目標に改正された教育基本法やそれに基づく学習指導要領等の趣旨にのっとり,教育委員会が各教科,分野ごとに示す教科書選定の観点に基づき本市の子供たちに最も適した教科書の採択に努めてまいります。 また本市では,特に社会科や道徳の学習において文化都市・京都の豊富な題材を生かし,世界に誇り得る我が国の歴史や文化について考えさせたり,我が国の発展に寄与した先人の伝記から学ばせたりするとともに,全校の儀式的行事において国旗掲揚,国家斉唱を厳粛に行うなど,日本人としての誇りを持って国を愛し,世界に貢献できる子供たちの育成に取り組んでおります。今後とも御指摘の観点を踏まえ,我が国の伝統と文化を受け継ぎ,次代と自らの未来を切り開く子供たちの育成に向けて全力で取り組んでまいります。 次に,いじめ対策についてでありますが,本市では「いじめはどこの学校に起こり得る」という危機意識の下,いじめ対策委員会を全校に設置し,教職員が課題や情報を共有する中で見逃しのない観察,手遅れのない対応,心の通った指導の3点を徹底し,いじめを許さない学校づくりを進めております。また,議員御指摘のとおり,いじめなど問題行動の未然防止や再発防止には社会全体の問題としてとらえることが重要であり,「子どもを共に育む京都市民憲章」推進のための行動指針に,いじめ対策を緊急課題として掲げ,市民ぐるみで取組を推進いたしております。さらに保護者,地域,校長会や京都府警等が参画する「子供の規範意識をはぐくむプロジェクト」での議論を基に警察OBなどによります非行防止教室の全中学校,高校での実施及び小学校での実施拡大や中学校生徒会サミットでの生徒自身による「いじめを許さない宣言」の発信など,具体的な取組を進めております。今後とも,保護者,地域,警察等の関係機関と一体となり,「社会で許されない行為は学校でも許されない」との毅然とした姿勢を貫き,いじめ問題の解決や立ち直り支援の充実に向け,全力で取り組んでまいります。以上であります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,加藤あい議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤あい議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤あい議員) 左京区選出の加藤あいです。日本共産党市会議員団を代表して市政一般について市長に質問します。 まず,「京プラン」実施計画について伺います。今年3月,市長は「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画を発表されました。「京プラン」は一言で言って,市民生活を破壊し自治体を変質させるプランです。具体的な中身はどうでしょうか。 第一に,血も涙もない予算削減計画になっています。実施計画は4年間,社会福祉関係経費を含む歳出を毎年25億円削減する,また,その削減額を積み上げ,4年で250億円の削減を行い,社会福祉経費の水準を100億円切り下げる計画になっています。既に今年度,高齢者の命綱である緊急通報システムが値上げされました。9割だった無料世帯はわずか7パーセントになり,大幅に負担が増えました。そのことを通知した「必要がなければ取り外します」との案内を読んだ方から,「何のために設置してきたんだ」と怒りの声が上がっています。今議会では65歳以上の方を対象とした個人府市民税軽減制度の廃止も打ち出されています。3万6,000人に6億5,000万円の負担増,しかも,精神通院や更生医療の負担も増えることになります。余りにひどい高齢者いじめではありませんか。 今後,敬老乗車証の受益者負担の在り方の検討を行うとし,アンケートが行われていますが,既に市民からは,「また値上げか,何て年寄りに冷たい京都市か」などの声が寄せられています。高齢者にしわ寄せし,京都市の敬老の精神を壊すことは認められません。障害児デイサービス事業所への1箇所400万円のわずかばかりの補助金も今年度半減され,来年度には廃止とされています。現場では非常勤職員の勤務時間が縮められ,雇用保険に入れなくなるという事態が発生しています。保護者からは,「京都市は子供を大切にしてくれるところと思っていたので,補助金が減らされると聞いてびっくりした」と失望の声が上がっています。子供たちの療育や親への支援を冷たく切り捨てるというのは,余りにもひどいではありませんか。市長,あなたが言う「持続可能な財政への構造改革」は,高齢者や子供たち,市民の福祉を切り捨てるものではありませんか。「京プラン」実施計画は,市民生活を持続不可能にするものだという自覚はありますか,お答えください。 第二に,なりふり構わぬ歳入確保策が打ち出されています。まず債権回収の問題です。実施計画では「市税や国保料などの債権を一元的に管理し,債権回収体制を強化,基本指針を策定し,条例化を目指す」としています。至上命題は徴収率の引上げであり,財産の差押ノウハウを向上させる,職員を取立屋にするやり方です。そして,本市保有資産の有効活用が掲げられています。有効活用と言うと聞こえはいいですが,毎年50億円を見込むという内容になっており,売却ありきです。高野の合同福祉会館跡地は各局に照会してもニーズがないとマンション業者に売却されましたが,ニーズがないどころか,「高齢者施設を造ってほしい」,「気軽に集える集会所が欲しい」と住民からは要望が寄せられていました。今後も左京区役所跡地,木造市営住宅などの売却が計画されていますが,京都市の資産は市民の財産です。本来,市民の声に応えて,どう活用するかが大切ではありませんか。保有資産は切売りするのではなく,市民の暮らしの向上のために使うべきです。いかがですか。 第三に,職員削減です。消防職員80人を含む690人,10年で1,400人削減を掲げています。緊急時対応,防災対策など,東日本大震災では自治体の課題が浮き彫りになりました。大事なのはマンパワーです。仙台市では震災後の今年度から,これまで減らしてきた職員数を増やす措置を採られました。とりわけ,市民の安全,命を預かる消防職員までも減らすという行革は,結局,住民の安全を脅かすことになるのではないでしょうか。 第四に,プランでは市民には多大なしわ寄せをしようとする一方で,無駄な公共工事が温存されています。まず焼却灰溶融炉です。稼動予定から2年半も事故を繰り返し,いまだに試運転すらできていません。本格稼動すれば20年間で560億円も使う莫大な無駄遣いです。リニア中央新幹線の京都駅誘致計画も重大です。地下駅の建設予算は2,200億円にも上ります。こうした事業こそ中止すべきではありませんか。 第五に,特別自治市,道州制問題です。実施計画では,道州制を見据えた新たな大都市制度,特別自治市創設に向けての研究と提言が打ち出されています。そもそも道州制は,日本経団連が究極の構造改革と位置付けているものであり,その最大の問題点は財界主導による自治体の解体にあります。地方自治体の役割が投げ捨てられ,命と暮らしは自己責任で守ることを住民に押し付けるものです。地方自治法に定められているとおり,地方自治体の役割は住民の福祉の増進にあります。道州制や大都市構想で,どう住民の福祉の向上が図れるのですか,いかがですか。 国の出先機関の事務,権限委譲についての法整備は見送られました。全国の4分の1の自治体が参加している「地方を守る会」は,「出先機関の事務,権限委譲は国民の安全安心を守る国の体制を弱体化させる」と強い懸念を表明しています。道州制については全国町村会が反対を表明しています。また,大都市地域特別区設置法でも,市長が求めてきた特別自治市構想を視野に入れた大都市制度の提案権は盛り込まれませんでした。道州制は矛盾が広がり,大きな問題を抱えているのではありませんか。それでも市長は,道州制を推進する立場を変えないのですか,お答えください。重ねて,市民の福祉と暮らしを徹底して破壊する,社会保障切捨て,自治体破壊の「京プラン」実施計画は撤回することを求めます。 次に,原発問題に関わって伺います。エネルギー政策について国民の意見を評価してきた「国民的議論に関する検証会合」は,「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と発表いたしました。官邸前行動には100万人が参加し,世論調査やパブリックコメントでも圧倒的に原発ゼロが多数を占めています。京都でも,関西電力京都支店前でスタンディングアピールが毎週行われています。国民の願いは即時原発ゼロにあります。市長,あなたの対応はこうした国民,市民の熱い願いにかなうものになっているでしょうか。そうはなっていません。 市長は,関西広域連合が大飯原発の再稼動方針容認を示すと,すぐに再稼動を容認されましたが,その判断は誤っていたと言わなければなりません。この夏の電力需要はピーク時で2,682万キロワットとなりました。関西電力の最大供給電力は2,999万キロワット,大飯原発の供給は236万キロワットですから,原発を動かさなくても,81万キロワットの余力があったことが分かります。原発の再稼動をしなくても余裕があることが証明されました。市長,原発がなくても電気は足りていることが明らかになった今こそ,原発から100キロ圏内にある政令市の市長として「大飯原発の稼動は直ちに停止せよ」と強く主張すべきではありませんか。見解をお聞かせください。 市長は,「再稼働に当たっては,福島原発事故を教訓とした安全性を確保することが不可欠」と表明されてきました。現在,関西電力は大飯原発の敷地直下に活断層があるかどうかの調査を行っていますが,あるかないか,調査を今ごろになってやらなければならないこと自体,国や関西電力が安全性をまともに検証する気がなかったことを如実に示しているのではありませんか。市長は,国や関西電力任せにせず,市民の命を預かる長として,敷地直下のF6断層の調査データの全ての公開を求め,独自に安全性を検証すべきです。関西電力に対して立地県並みの安全協定を結ぶよう要請することを求めます。市長,あなたが,即時原発ゼロの立場に立っていないことが,再稼動についての判断を誤らせたと指摘せねばなりません。改めて,市民の代表者として即時原発ゼロの立場に立つことを求めます。 次に,消費税増税問題についてです。民主党政権と自民,公明が消費税増税法を強行可決し,国民不在,談合政治に怒りが高まっています。法案可決後も6割の国民が反対,毎日新聞の世論調査では92パーセントの国民が「消費税増税で暮らしが厳しくなる」と答えています。暮らしや経済,中小企業の経営が窮地に追い込まれる,そのことはこの京都市においても同じです。8月に帝国データバンクが行った京都府内企業の意識調査では,消費税率の引上げの影響について「悪影響」と回答した企業が221社中114社となりました。「かなり悪影響」と合わせると141社となり,3社に2社が業績への悪影響を懸念しています。また,価格転嫁についても,「全く転嫁できない」との回答が1割弱,「一部しか転嫁できない」と答えた企業も3割ありました。税率引上げ後の国内消費動向については,8割の企業が「縮小する」と答え,「デフレ不況の中,増税する意味が全く分からない」などの厳しい声が上がっています。市長は重い決断をされたと評価されていますが,京都の経済,中小企業の窮状をどのようにお考えでしょうか。本当に中小企業を守る気があるなら,「消費税増税が消費動向を縮小させる」との企業の思いを受け止めて,消費税増税は実行すべきではないと表明すべきではありませんか,いかがですか。 次に,生活保護行政について伺います。憲法25条の生存権を否定する社会保障制度改革推進法が制定され,附則では生活保護制度について不正受給への厳格な対処,生活扶助,医療扶助等の給付水準の適正化が盛り込まれました。不正受給が問題であるのは言うまでもありません。しかし,それを口実とした締付け強化と基準の引下げは,あってはならない重大問題です。生活保護水準の引下げは生活保護世帯だけの問題ではありません。その基準は,課税最低限,各種福祉施策に連動しています。ですから,その基準が下がれば,課税のラインが下がり,福祉施策を受けられる範囲も狭まるのです。国民生活の最低ラインの引下げは生活困窮者を更に増大させます。市長は「国民,市民の生活全体に重大な影響を与える生活保護基準の引下げは認められない」と,国に対して意見を言うべきです。お答えください。 今,生活保護を必要としている人が,本当に受給できているかといえば,そうではありません。2010年,「いわゆる捕捉率はわずか3割だ」と厚生労働省が推計を発表しました。今年1月には札幌市白石区で40代姉妹が死亡するなど,2012年に入り全国で餓死,孤独死,孤立死が相次いでいます。セーフティーネットとしての生活保護が機能していないという重大な事態です。本来なら生活保護について周知し,救える命を救わなければなりませんが,生活保護世帯全体が不正受給をしているかのようなバッシングが起き,それに乗じて,不正受給防止ばかりが推し進められている実態があります。本市では生活保護適正化推進担当,部長級以下6人の職員と警察官OB2人,適正化対策支援員7人の体制が設置されました。今年度は暴力団と高校生のアルバイト収入の無申告を同列に置いた不正受給防止ポスターとチラシの配布が行われました。また財源効果を約1億円見込んで,市民の通報に基づく調査や過払分の徴収対策,医療機関への立入調査を行っています。こうしたことが助けを必要としている方を生活保護から遠ざけてしまうことになってはいないでしょうか。市民からは,「生活保護を受けることは恥ずかしいこと」,「自らの生活破綻で母の面倒を見られなくなったが,怖くて福祉事務所にいけない」などの声が寄せられています。憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活を権利として具体化した生活保護制度本来の趣旨がゆがめられることがあってはなりません。必要な方が保護を受けられない,抑制されるという事態を絶対に発生させないという決意を市長に求めます。また,適正化推進というのであれば,生活保護制度を知らせ,セーフティーネットを機能させるべきです。いかがですか。 次に,国民健康保険について伺います。2011年度決算で5月時点の見込みを4億円上回る,27億2,900万円の単年度黒字,4年連続の黒字となりました。繰り返し求めてきましたが,今こそ,黒字分を被保険者に還元し,保険料引下げに踏み出すべきです。今年8月,京都府保険医協会が医師を対象に京都府内における受診抑制の実態についてのアンケートを採られました。「5年間,国保無加入のため,進行性がんの症状が受診した時点で手遅れ」,「生活保護取り消し後,1箇月で警察より死亡したと照会あり」などの手遅れ事例が寄せられています。また,3割の窓口負担の影響で困ったことがあるかどうかについて,33パーセントが「ある」と回答。5年前と比較しても23パーセントも「ある」が増加しています。「費用面の心配から患者さんからの依頼で診療内容を手控えた」などの深刻な実態が明らかになっています。厳しい経済情勢を反映して,受診を抑制せざるをえない状況が広がっています。市長は厳しい市民の生活実態をどのようにお考えですか。保険料負担の引下げの市民の願いに応えること求めます。 次に,教育条件に関わって伺います。7月,養徳小学校で1年生の児童が学校プール開放中に亡くなるという痛ましい事故が発生しました。亡くなられた児童と遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げるものです。言うまでもなく,尊い命が学校現場で失われることは,あってはなりません。二度とこのような事故が起こらないよう学校現場と教育委員会が万全の対策を採ることが求められています。事故後の調査の中で水位や監視体制,ビート板の扱いなどについて課題があったことが明らかになっています。学校現場からは経費節減のため,水位を中学年に合わせるという対応があったと実態が寄せられています。水光熱費節減によって児童の安全が脅かされていないでしょうか。今,児童の安全確保策を採るだけの予算が十分であったかどうかという問題が教育行政に投げ掛けられています。 実際に,2002年から2012年の10年間で本市の教育予算は100億円も削減され,2011年度の当初予算は過去最低です。乾いたタオルを絞るような行革路線を教育の分野にまで行ってきた結果であります。各学校の経常運営費はどうでしょうか。以前は水光熱費は教材費などとは区別して執行されていました。しかし,2004年,水光熱費が経常運営費の中に組み込まれました。当時,教育委員会からは,校長の裁量が高まり自由度が増えると説明がありましたが,結果を見れば,その制度が導入される以前と比べて小学校の経常運営費は5億8,000万円,水光熱費で1億4,800万円も減額しています。教育予算を増額し,児童の安全を確保するのに十分な予算措置をとることを求めます。また,経常運営費の総額裁量制の見直しも含めて検討すべきと考えますが,いかがですか。加えて,専門家等の力も借りて原因の究明と再発防止策の確立を図り,京都市として安全基準を作ることを求めるものです。 次に,市立高校改革について伺います。京都府教育委員会が京都市乙訓地域の公立高校の入試制度について総合選抜の廃止と単独選抜制の導入,類・類型制の廃止と通学圏の一本化を表明しました。通学圏を一つにし,単独選抜とすれば,高校格差と序列化は更に広がり,受験競争も激化します。京都市はこれまでも定時制高校の募集定員を11年前の400人から100人規模へ,普通科についても1,000人から800人へ減らしてきました。来年度も市立高校の普通科Ⅰ類で120人の募集定員の削減が予定されています。工業高校についても伏見工業と洛陽工業の統合という話まで出ています。市立高校の責任範囲をどんどん切り縮め,できる子だけを集める高校改革で良いのでしょうか。高校へ行けない生徒が生まれないようなセーフティーネットは大丈夫でしょうか。中学校2年生の保護者からは,「近くの高校へ行けなくなるのではないかと不安」,「地域の高校を大切にしたいと思っていたけれど」などの不安や危惧の声が寄せられています。来年度,私学では,公立の800人定員削減分を受け入れ,受験生の進路保障に責任を果たすと言われています。急激な生徒増による1クラスの生徒数の増加など教育条件の低下が危惧されます。公立こそ中学卒業生全ての進路保障の立場に立ち,学級定員を減らすきめ細やかな少人数教育の実施と合わせて定員を増やすべきではありませんか,いかがですか。また,入試制度については通学圏の一本化や単独選抜の導入は行わず,保護者の声に耳を傾け,保護者や生徒,市民の議論を保障することを求めます。 次に,民間保育所の耐震化について伺います。東日本大震災後,「保育所の耐震は大丈夫か」との保護者や保育関係者からの声が多く寄せられています。いざというとき子供たちの命を守ることができるのか,切実な問題です。しかし,本市の民間保育所の耐震化率は48.8パーセントと半分にも達していません。公立保育所を加えても,耐震化率はわずか51.6パーセント,政令市の中で下から3番目です。子供の命を預かる保育所の耐震化達成率がわずか半分という現状を放置しておくわけにはいきません。市の施策はどうでしょうか。アドバイザーの派遣はありますが,助成事業は診断のみ。診断助成の対象も特定建築物であるものに限定しています。増築されている園などはその要件に当てはまらない場合も多く,制度が生かされていません。まずは全ての保育所を対象にすることを求めます。いかがですか。また,耐震化が進まない根本原因は工事の費用負担にあります。国の制度を活用しても4分の1は事業主負担となっています。民間の事業者任せではなく,市としての責任を果たすべきではありませんか。堺市や静岡市では,事業主負担を軽減する独自の施策を確立しています。公的施設の位置付けにふさわしく耐震化計画を市として確立し,工事に関して市独自の手立てを採ることを求めます。 最後に,北泉通の架橋と道路拡幅計画について伺います。「昭和2年の計画を今になってなぜ」,「橋を架ける前に生活道路の改善に着手してほしい」,市長が進められている北泉橋建設計画に住民から反対の声が上がっています。そもそも強行されれば私有地を削り取られる松ヶ崎の住民の方は,市当局から,「あなたが御存命のうちは道路の拡幅はありません」と説明されてきました。それを今になって覆すことは,地権者の生活破綻につながるものであり,認められません。高野川東側はどうでしょうか。養徳学区の方は,元々「橋が架かって便利になる」と当該地に住まわれた経過があります。しかし85年たった今,全く状況は変わっています。現在,道路整備の状況が大変悪く,近くの交差点では交通事故が頻発しています。そこに交通量が増大すれば,著しく生活環境が悪化します。また桜並木など景観や自然が破壊されることになります。新たな橋を架けるよりも,むしろ松ヶ崎橋や馬橋の耐震補強や東側の道路整備を優先すべきです。北泉通りの架橋と道路拡幅計画の凍結を求める署名が3,711筆提出されました。市長は,「24年度に事業に着手する」としておられますが,これだけの反対意見が出される中でのごり押しは,未来に禍根を残すのではありませんか。北泉橋建設計画は白紙撤回することを求めます。 以上で私の第1質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 加藤あい議員の御質問にお答えいたします。 「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画についてでございます。京都の未来を切り開き,市民の皆様の暮らしをしっかりと守るため,本年3月に策定した「京プラン」実施計画におきましては,「いのちとくらしを守る戦略」をはじめとする11の重点戦略の推進と共に,それを支える財政基盤の確立に向けた具体的な取組をお示しいたしております。平成23年度予算では,社会福祉関係経費に要する一般財源は1,041億円でしたが,平成27年度の見込みでは,1,143億円と4年間で100億円を超えて必要となります。その取組の一環として毎年度の社会福祉関係経費の自然増,一般財源ベースで25億円をどうしても確保する必要がある。そのために,消費的経費等を効率化も含めて見直していこう,これはすなわち市民の福祉を支えるためのものであり,福祉の切捨てとの御指摘は全く当を得ないものであります。また,土地等の保有資産につきましては,市民の願いに応えて本市の施策推進のために,例えば左京区役所を新たな地で新設するなど,一貫して増加させてきております。その一方で,本市が自ら利用する必要がなくなった資産については,売却や貸付けを進め,社会全体で有効に活用し,地域の活性化につなげていくことは当然のことであり,ネーミングライツ等の広告料収入なども含め,毎年度50億円を目標に,市民の命と暮らしを守る市政運営に必要な自主財源として確保を図っております。今後とも,実施計画に基づく取組の着実な推進によりまして,徹底した市民参加と市会の御議決を得て策定いたしました本市の基本計画は「ばたけ未来へ!京プラン」に掲げる京都の未来像の実現を図り,市民の皆様の安心安全な生活をしっかりと支えてまいります。 次に,道州制及び大都市制度についてでございます。市民の皆様と行政が共に汗する共汗により,市民と行政の意思を迅速かつ総合的に実現し,住民福祉の更なる向上を図るため,そのためには,市民の皆様に最も身近な基礎自治体に対して,国や都道府県から権限と財源を大幅に移譲し,地域のことは地域で決めることのできる地域主権型社会へと力強く転換していかなければなりません。そのためには,国の出先機関改革をはじめとする地域主権改革の推進と共に,個性豊かで活力に満ちたまちづくりを自立的,総合的に推進できる新たな大都市制度,特別自治市制度の実現が必要不可欠であります。また,特別自治市制度の創設に当たっては,我が国全体の地方自治制度の在り方について議論を深める必要があり,私は,あるべき広域自治体の姿として,広域的な行政課題等への総合的な対応が可能となり,かつ地域主権改革に貢献する道州制を導入することが望ましいと考えております。道州制については,何よりも,国民に見える形で積極的に議論し,理解を深めていただくことがとても重要であり,道州制推進知事,指定都市市長連合等の活動を通じまして,国民的な議論が巻き起こるよう積極的に取り組んでまいります。 次に,生活保護行政の推進についてでございます。生活保護制度は,市民の皆様の最後のセーフティネットの役割を果たす極めて重要な制度であります。議員御指摘の生活保護制度の見直しにつきましては,年金や最低賃金など他の制度と整合したものとなるよう,社会保障制度全般の見直しの中で,抜本的な改革が図られるべきであり,経費の全額国庫負担や調査権限の強化等と併せて,国に対して強く要望しているところであります。また,制度の運用に当たっては,必要な人に必要な保護を実施するため,関係機関と連携しながら,制度周知に努めるとともに,懇切丁寧な面接相談や,きめ細かな就労支援に取り組んでおります。今後とも,市民に信頼される生活保護行政を推進していくために,就労支援,自立支援に一層力を注ぎ,充実させ,世帯の自立を強力に促進するとともに,「不正は絶対に許さない」との強い決意で,徹底した不正受給対策に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは,民間保育園の耐震化についてお答えいたします。保育所の耐震化は,お預かりしている子供たちの安全確保に関わる大変重要な,また喫緊の課題であると認識いたしております。この間,2階建以上,かつ500平米以上の特定建築物に該当する施設に対しましては,耐震診断の助成を実施するとともに,診断の結果,改修が必要とされた施設につきましては,順次耐震化を進めてきたところでありますが,なお耐震診断や改修を要する施設が多く残っているのが現状でございます。 このため,耐震化の一層の促進を目的といたしまして,本年度から専門家が現地を調査し,効果的なアドバイスを行う耐震アドバイザー派遣事業を実施することとしたところでございます。この事業を特定建築物に引き続き非特定建築物にも広げていくことで,ハード面,ソフト面含めまして,全体の実態把握に努めてまいります。そのうえで耐震診断や耐震改修に関する国の補助制度も活用しながら,できるだけ早期に施設の耐震化が図られるよう,その方策を検討し,積極的に取り組んでまいります。また,併せまして保育園の負担をできるだけ軽減するため,国補助制度の拡充につきましても強く要望してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 原子力発電所についてでございます。原発の稼働に当たりましては,京都市はこれまでから,市会の決議を踏まえ,「中長期的には,脱原発依存,そして短期的には,第一に稼働の必要性を明らかにし,二つ目に,万全の安全を確保したうえで,三つ目には,地域住民の理解を得る必要がある」と主張してまいりました。必要性に関しては,国の責任においてこの夏の電力の需給状況の検証がしっかりとなされたうえで判断されるべきであり,また,安全性の確保につきましても,原子力規制委員会により早期に新たな安全基準に基づく審査が行われる必要があると考えており,関西広域連合からも再審査を早急に行うよう本日申し入れているところでございます。大飯原発敷地直下の破砕帯につきましては,原子力規制委員会が現地調査を行い,年内をめどに安全性の評価が行われる予定であり,その動向を注視してまいりたいと考えております。また,関西電力との安全協定につきましては,京都府において協議が進められており,今後その結果を踏まえて,京都市としての協定締結の必要性について検討してまいります。 次に,消費税と中小企業への影響についてでございます。消費税は,あらゆる世代が広く負担を分かち合う税として,少子高齢化が進む中,社会保障に必要な財源を将来にわたり安定的に確保するためにも,ますます重要なものになっていると認識しております。消費税率の引上げにつきましては,国内需要の縮小,円高,デフレなど厳しい経営環境が続く中,家計の購買意欲の減退に伴う売上げの減少や,税負担を適正に転嫁できない場合における経営の圧迫など,中小零細企業への影響が懸念されますが,引上げに際しては,社会保障と税の一体改革関連法において,経済状況を総合的に勘案したうえで,必要な措置を講じることとされております。今後,国におきまして,成長戦略の推進はもとより法律の趣旨に基づき,消費税を円滑,適正に転嫁するための措置など,中小零細企業への影響を最小限にとどめる対応策を講じられたうえで,実施されるべきものと考えております。以上でございます。 ○議長(大西均) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 国民健康保険についてでございます。平成24年度の保険料につきましては,被保険者の皆様の生活実態を踏まえ,厳しい財政状況の中,本市独自の財政支援分約77億円を含む総額約148億円もの巨額の一般会計繰入金を確保することで,保険料率を平成23年度と同率に据え置き,被保険者の皆様の負担軽減に最大限努めております。また,平成23年度の単年度収支は黒字となっているものの,その中には,平成24年度に国に返還の必要がある過大交付された約18億円の負担金も含まれており,依然として約37億円もの累積赤字を抱える現状では,更なる保険料の引下げは困難であります。以上です。 ○議長(大西均) 西村建設局長。 〔西村建設局長登壇〕 ◎建設局長(西村文治) 北泉通の橋りょう新設についてでございます。北泉通は,左京区を東西に結ぶ延長2,230メートルの都市計画道路であり,橋梁の新設を含む残り170メートルの区間が未整備となっております。北泉通の全線完成は,左京区総合庁舎へのアクセスを飛躍的に向上させ,地域の防災機能を強化するものであり,橋りょうの耐震補強と同様に市民生活を守る重要な事業であります。また,橋の建設と併せて,橋の西側に歩道を新設するとともに,東側についても歩道のバリアフリー化を実施してまいります。地域の皆様,特に高齢者や障害のある市民の皆様から北泉通の早期完成を求める強い御要望もいただいており,今後とも地域の皆様方には,丁寧な説明を行い,早期完成を目指し,スピード感を持って整備に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 教育予算についてでありますが,厳しい本市財政状況の下,市総体として,毎年度おおむね50億円の事業の縮減が行われる中,学校経常運営費につきましては,ここ4年間同水準を確保し,また光熱水費についても,環境に配慮し,無駄を省くため,電力監視測定器や節水器具の設置をはじめとする節減対策を進めつつ,ここ9年間同水準を維持し,予算は削減いたしておりません。今後とも,学校教育活動の円滑な実施のため,費目に限定されず,各学校の実態に応じて予算を校長裁量で柔軟かつ効果的に執行できる仕組みを活用するとともに,児童の安全はもとより,学校運営に必要な予算の確保に努めてまいります。 養徳小学校のプール事故につきましては,再発防止に向け,学校プールにおける水位の目安や監視体制などについて定めた水泳指導に関する新たな指針づくりを既に進めております。今後,各分野の専門家の意見などもいただきながら,できるだけ早期に新指針を策定し,研修会を開催するなどして,各学校の水泳指導に生かし,全市立学校における安全管理の一層の徹底に努めてまいります。 次に,公立高校の募集定員についてでありますが,近年の中学生の減少傾向や授業料無償化による私学志向の高まりなどを踏まえ,京都府教育委員会,私学連合会とも協議のうえ設定いたしております。今年4月入学生に係る公立高校普通科の募集定員は,志願者数とほぼ同数になるなど必要な定員を十分確保しており,来年度も同様と見込んでおります。また市立高校では,既に各校で習熟度別や少人数の教育を実施しており,生徒の進路実現に向けて,公立高校としての責任を果たしてきていると考えております。 入学者選抜制度につきましては,約1年に及ぶ議論や1万1,000人の方に回答いただいた生徒,保護者のアンケート調査において,9割近くの生徒,保護者が,主体的に高校を選択することを肯定的に考えているとの結果が出ていることなどを踏まえ,本年8月に懇談会から,「類・類型制度や総合選抜制度を見直し,南北通学圏を統合すること」などを柱とする提言をいただきました。今後,この提言を踏まえ,制度案を策定し,生徒,保護者,市民の御意見をいただき,それを基に京都府教育委員会と協議し,これまで以上に生徒が目的意識を持って主体的に高校を選択できる入試制度を構築してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 加藤議員。 〔加藤あい議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤あい議員) 原発問題は,「国の責任において判断されるべき」とのことでありましたが,政府・民主党は大間原発の建設再開など原発容認です。国民世論はどの世論調査でも原発ゼロにあります。市長が即時原発ゼロの立場に立つことと,大飯原発の再稼働中止を要求することを重ねて求めます。 「京プラン」ですが,高齢者,生活弱者への負担増プランであることを指摘しました。市長の御答弁は「市民の福祉を支えるためのものであり,切捨てというのは当たらない」とのことでしたが,その中身は財政有識者会議の求める更なる負担増のオンパレードではありませんか。これを中止しないことには,市民生活は守れないということを強く指摘して質問を終わります。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 暫時休憩いたします。 〔午後3時01分休憩〕 〔午後3時21分再開〕 ○議長(大西均) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,西村善美議員に発言を許します。西村議員。 〔西村善美議員登壇(拍手)〕 ◆(西村善美議員) 右京区選出の西村善美です。私は日本共産党市会議員団を代表して,市長に質問いたします。 2011年は,東日本大震災や原発事故という未曽有の災害や円高などで市民の暮らしも様々な影響を受けました。こういうときこそ全力で市民の命を守り,暮らしを応援することが大変重要です。2011年度決算について市長は,「2007年度決算で373億円あった連結実質赤字を解消した」と報告されました。しかし,これは人件費や市民サービスなど市政のリストラを進めた結果の赤字解消とも言えます。市民の暮らしがどんなに大変な状況なのか。例えば,暮しや経済のバロメーターである市税収入を見ると,2008年度は2,664億円,2011年度は2,486億円と,4年間で178億円も大幅に減りました。このことを見ると市民の暮らしは厳しい状況が続いていることが分かります。しかし「京プラン」実施計画では,その重点戦略の推進による担税力の強化を上げ,強調されているのは,国における社会保障と税の一体改革など地方財政制度全般にわたる改革を頼りにしています。これは,正に消費税増税の負担を前提とする計画であり,暮らし破壊の方向であります。税収が減った背景には,非正規雇用の増大や円高,長引く不況など,中小企業の厳しい経営状況があります。こういうときだからこそ,地域経済を底から温め,雇用を確保し,市民の暮らしを守ることが重要です。京都の地域経済を支え,雇用を創出するものづくり産業や広い中小企業,伝統地場産業,商店街振興などへの新たな支援が,これまでにも増して必要な時代となっています。中小企業は,市内企業の99パーセントを占め,雇用の70パーセントを担い,京都経済の中心的役割を果たしています。その特色は,伝統産業や高い技術のものづくりが中心であります。日本経済が長期低迷する中,京都市は今こそ中小企業の位置付けを更に高め,支援を強める必要があります。 しかし,京都市はこの間,市が直接責任を担ってきた中小企業支援制度を,次々と後退させてきました。 例えば,市内中小企業に対して直接金融支援をしてきた直貸制度をなくし,今年はとうとう京都市中小企業支援センターの相談窓口を,経済団体へ移管してしまいました。これでは中小企業への直接支援とは言えません。行政の効率化だけでありませんか。さらに京都市は今後,京都のものづくりの技術支援の拠点である京都市産業技術研究所について,利用者である中小企業も参加しない在り方検討委員会の下,職員の多くの疑問や不安があるにもかかわらず,地方独立行政法人化を強行しようとしております。また,市内企業の研究,開発拠点でもある高度技術研究所については,府の機関との統合まで言われているのであります。市内の中小企業が,直接相談を受け,直接アドバイスするこれらの大切な制度をなくすことは,京都市のものづくり支援の拠点を弱めることになり,進む方向も,やり方も大変問題であります。だからこそ,中小企業を社会の主役と位置付け,中小企業の支援を一貫して推進するための条例が今こそ必要であります。我が党議員団は,市内中小企業が京都の経済や雇用などに中心的役割を担っている重要性にかんがみ,中小企業に対する位置付けを高め,本市の責務を明確にする「京都市中小企業振興基本条例」の制定を求めています。国では「中小企業憲章」が閣議決定され,全国でも同条例の制定が広がっています。本市でも市内中小企業団体を含めた条例検討会議を早期に立ち上げ,そのうえで「京都市中小企業基本条例」の制定を目指すべきです。お答えください。 次に,公契約について質問いたします。昨年度,最低制限価格での落札件数は381件,低入札調査件数は21件あり,うち12件が失格となりました。公共工事での低価格入札が依然として少なくありません。京都地方労働組合総評議会は,昨年,京都府下の企業や労働者に対して公契約に関するアンケートを実施しています。例えば,公共事業や業務委託などを落札した結果について「赤字となった事業がある」と答えた企業は40.5パーセント。「適切な金額の契約が結べなかったため,労働者の賃金や労働条件を切り下げざるを得なかった」と答えた企業は38.7パーセントという結果です。そして,労働者側のアンケート結果でも「労働条件が悪く変わった」と答えた人は35パーセントもいます。これらを見ると,公契約に関わる低入札によって,企業経営の悪影響と労働者の低賃金という実態が浮かび上がっています。このアンケートで経営者は,「公共事業が減少する中,低価格での落札は,人件費の削減や原材料の悪化につながり,受注者,発注者ともにプラスにならない」と言います。京都市が発注する委託や請負などに掛かる費用が,単純に安ければよいと言うものではありません。公共事業の品質確保や行政サービスの適正確保が必要です。受注した企業が健全に育ち,雇用の安定につながり,税が有効に活用され,地域経済に循環しながら社会に生かされるものでなくてはなりません。この問題を改善するための対策が必要です。特に賃金の問題です。京都市が発注する工事の賃金については,二省協定単価に基づいて計算しています。全京都建築労働組合が実施したアンケートによると,2011年度の設計労務単価の全職種平均は1万7,139円ですが,公共工事従事者の賃金は1万3,451円となって,約3,700円低くなっています。働く皆さんの賃金にしわ寄せが行き,安定雇用にも影響しています。労務単価が下請を含めて守られているのか検証することが必要です。労務単価が下請労働者を含めて守られるよう実効性を確保すべきです。お答えください。また市長が,「制定を目指す」と答えてきた公契約条例ですが,庁内検討会議を立ち上げたものの,条例制定のための審議会も予算も全くありません。京都市が制定を目指す公契約条例については,「市が発注する事業等は市内業者に優先発注すること」,「地元資材の優先使用をすること」,「賃金及び労働条件の適正化」などを盛り込み,地元中小企業と市民の暮らしに役立つ公契約条例にすべきであります。そのため早急に,業界及び労働界の代表も参加する公契約条例制定検討会を早急に作ることを求めます。 次に,中小企業の金融支援について質問いたします。国の金融円滑化法の問題でありますが,同法は今年度末までで終了となります。経済総務委員会の質疑で,金融円滑化法について「地元中小企業が地元銀行を利用し,その実行率は93.5パーセントとなり,全国平均より高い」との答弁がありました。厳しい経営状況の中,多くの企業が利用し,事業と雇用を守ることができたのです。しかし,同法の終了を間際にして行なわれようとしているのは,出口戦略と言われて,金融機関によるコンサルティングの発揮や経営改善の指導,すなわち事業存廃の判断の強化とも言われています。このことが企業の先行き不安を招いています。 全国商工団体連合会は,金融円滑化法の恒久化による資金繰りの円滑化を求めています。東京商工会議所の中小企業金融に関する調査結果によると,円滑化法終了後,約6万から8万社以上の中小企業に格付け引下げが行われ,資金繰り悪化,事業縮小などの影響が出ると報道されています。大きな影響が懸念されています。同法の果たしてきた役割をどう認識しているのか,お答えください。また,制度を更に継続するよう国に求め,貸渋り,貸しはがしを強化しないよう地元金融機関に対して要請すべきであります。お答えください。 商業振興について質問いたします。商業統計の1991年と2007年を比較すると,市内全体の小売店舗数は,6,377店舗,27.3パーセントも減少し,年間販売額も1,209億円と5.7パーセント減少しています。この間の市内の人口は1万4,000人増えているのにもかかわらず,小売店舗数も販売額も減少しています。これらの背景には,もちろん経済的要因や社会生活の変化もありますが,商店街を取り巻く環境が厳しいとき,本市の商業振興予算は削られています。1990年度から2010年度の予算を比較すると,京都市全体の予算は1.5倍に増えているにもかかわらず,商業振興費の推移を見ると,1995年度が5億2,000万円で最高だったにもかかわらず,2007年は1億1,600万円と最低になり,低い水準のままです。とりわけ商店街等支援事業費は,この10年間で67パーセントも大幅に削減されています。商店街は,地域住民の暮らしを支え,コミュニティの場でもあり,まさに地域を象徴する身近な存在です。私は,商店街,小売店を地域の共有財産と位置付け,その役割にふさわしい振興対策が必要だと思います。そのためにも商店街振興対策の施策を拡充し,そのための予算をしっかりと確保すべきです。そこで,市内商店街でシャッターを降ろしている空き店舗の活用を推進するため,新規開業者に対して,空き店舗の家賃,改装費などへの補助制度を創設することを求めます。お答えください。また,商店街の存在に大きな影響を与えているのが大型店です。大型店の身勝手な出店,撤退は,地域の商店街,小売店を衰退させ,各地で買物弱者を生むなど,地域の存亡に関わる問題を引き起こしています。大型店の売り場面積は10年間で1.5倍に増えました。売場面積や,営業時間の拡大傾向が進み,地域商店街との競争も激化しています。京都市は,大規模小売店舗立地法について,「周辺生活環境保持の機能を果たしている」と評価し,京都市商業集積ガイドプランについては,「商業集積の適正な配置に大きな効果を上げている」と推進しています。しかし,これらは事実上の大型店誘致の制度になっていて,地域の商店街が疲弊する原因となっているではありませんか。商業集積ガイドプランは撤回し,京都市まちづくり条例は大型店出店を規制するものに見直し,大規模小売店舗立地法は需給調整が可能となるよう国に求めるべきであります。お答えください。 雇用の問題について質問いたします。働く皆さんの雇用は大変厳しい状況です。とりわけ若者の非正規雇用率は,全国で5割,京都市内では6割にもなっていて,低賃金と劣悪な労働環境で働く若者が増えています。このことは家庭を持つことさえ困難となり,社会構造にゆがみが生じることになります。これでは安心できる社会とは言えません。現在と将来を担う若者の雇用実態を改善することが何よりも大切です。若者の非正規雇雇用が広がった原因は,労働者派遣法の制定,改悪により規制緩和が進み,正社員の多くが派遣労働やアルバイトなどに置き換えられてきたことにあります。「大学を卒業したが就職先が見つからず,アルバイトをして生活している」とか,「正社員の仕事が欲しい」,「サービス残業をなくしてほしい」などの声を,私も多く聞いています。 9月に公表された,文部科学省の学校基本調査によると,今春,大学を卒業した約56万人のうち,非正規雇用又は未就職など安定的な雇用に就いていない人が約13万人に上り,ほぼ4人に1人の割合となることが分かりました。京都では,安定的な雇用に就いていない大卒者は23.9パーセントで,全国平均を上回っています。深刻なのは,全国で10代から20代の若者で就職難を理由とした自殺者が4年間で2.5倍と急増したことです。日本社会の今と将来を担う若者たちの深刻な状況は,日本の経済や社会の活力低下を招いており,その対策の強化は喫緊の課題となっています。若者の雇用条件を改善するためには,労働者派遣法を抜本的に改正し,「正規雇用が当たり前」という雇用を守るルールを確立することが必要です。また本市としても,若者の雇用を確保するためにあらゆる手立てを尽くすべきです。そこで,本市の雇用対策担当部門の体制を拡充すること,若者や新卒者などについては,正社員として雇用確保を進めることを基本にして,京都府,産業界とも一体となった取組を進めることを求めます。また来春の新卒時期に向けた就職率向上の取組を京都市として強化すべきです。併せてお答えください。 次に,雇用対策特別事業について質問いたします。厳しい雇用問題に取り組むため,2008年度から始まった国の緊急雇用対策事業は,2012年度末で終了しようとしています。実施された,ふるさと雇用事業は地元企業への就職支援のため,緊急雇用創出事業は解雇された失業者を救済するなどの目的で行われてきました。本市の雇用対策事業特別会計を見ると,2011年度が27億2,600万円,4年間で予算額は83億6,400万円,雇用人数は7,350人を確保しています。就労の内容も,森林の整備など産業観光局をはじめ多くの所管局にまたがっています。これまで我が党議員団は,これらの雇用対策事業については,雇用の継続化と常用化などを求めてきました。しかし,国の事業が今年度末で終了すれば,雇用の継続どころか,4年間で83億円あった経済効果と雇用が失われ,市民にも地域経済にも大きな影響を与えることになります。緊急雇用対策事業の終了で,これらの雇用と経済効果が失われることに対して,本市への影響をどのように認識しているのですか。国に対しては雇用対策事業の継続を求めるべきです。国の事業が終了した場合でも,本市が進めてきた雇用事業を継続して雇用確保に努めるべきです。お答えください。 次に,林業支援についてであります。森林における役割は,産業振興と共に国土の保全,環境や景観を守る大切な役割があります。これらの重要な役割を担っている京都の林業も,経営が成り立たないような厳しい状況が続いています。その中でも京都の林産物を代表する北山丸太は,外国産材の輸入増加や生活様式の変化などによって生産は下降の一途をたどり,生産者も減り続けています。この北山丸太は,北区,右京区などを中心に生産され,品質も保証された京都を代表する特産物であり,支援の対策が求められています。京都の林業を代表する北山丸太の生産組合などの皆さんのお話を聞きました。「出荷まで30年から50年掛かる北山杉は,大変な山林作業に支えられて育てられますが,森林の育成,整備を進めるためには,熟練の技術を持った山林労働者が必要です。しかし,これらの人たちの高齢化が進み,ベテランの山林労働者は減少していて,担い手を育てるのも一苦労」と言われています。 林業家にとっては,木材の低価格化により経営が厳しく,整備に必要な山林作業も負担となり,思うように整備を進めることができないのが現状です。しかし,困難になる中でも,補助事業も活用しながら新規就労者を確保し,森林整備に取り組んでいます。最近,「補助事業でベテラン山林技術者が指導をし,山仕事の経験のない皆さんが大変意欲的に取り組み,技術を身に付け,地元に再雇用された人もいる」とお聞きしました。林業技術者を育て,技術を身に付け,枝打ちなど森林整備を進めていくことは大変重要となっています。そこで,京都市は北山杉を含めた市内産木材の普及,拡大を今後どのように進めていくのですか。また,これまで緊急雇用対策事業として行ってきた森林整備や担い手づくりの取組を更に進めるよう求めます。お答えください。 最後に,京都市へ合併して7年が経過した右京区京北の取組について質問いたします。1955年京北町発足当時の人口は1万582人でしたが,2012年9月現在の人口は5,449人となりました。農林業など基幹産業の衰退や少子化が進み,人口は急速に減少して,高齢化率は35パーセントと高くなっています。豊かな自然と魅力ある地域を守り,さらに次世代へ引き継いでいくことは本市の大きな役割です。京北では,この状況に負けない地域住民の元気なまちづくりが様々取り組まれていて,その支援に向けた対策が重要となっていています。そこで,地域おこしの取組について質問いたします。京北の皆さんは,廃校となった小学校を活用して各地で地域おこしを進めようとしています。例えば京北黒田では,地域の活性化を進めるための活動拠点を作り,そこを中心としたまちづくりを進める「新黒田村構想」を作りました。住民が明るく元気に活気ある暮しができる里に,地域に豊かな恵みを取り戻し,子や孫に誇りを持って引き継げる黒田村を建設しようと,小さくても輝く村を目指しています。この「新黒田村構想」の活動拠点として元黒田小学校を活用する計画です。ここには,学習室,特産物開発室,あるいは福祉健康教室,姑・嫁料理研究室など作る計画がされていて,まさに地域住民の夢が広がる拠点づくりであります。しかし元小学校の校舎を活用するにも,施設を改装することは自治会では限界があります。各地で始まっているこれらの取組が元気な京北のまちづくりになろうとしています。新しく始まったこれらの元小学校を活用した地域おこしの拠点づくりを応援し,魅力あるまちづくりを進めるため,京都市が直接応援すべきです。認識とお考えをお答えください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西村善美議員の御質問にお答えいたします。 まず,公契約基本条例についてでございます。私は,本年3月に策定した「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画において公契約基本条例の制定を明記し,今年度に入って直ちに,条例制定に向けて調査研究を進めるための庁内検討会議を設置いたしました。現在,市内中小企業の受注機会の拡大や適正な労働環境の確保に加え,環境に優しい都市づくりや真のワークライフバランスなど,公契約を通じて多様な社会的価値の実現を目指す,京都ならではの総合的な条例とすべく,すべての関係局が参画し,政策推進や入札,契約等の三つのワーキンググループを設けて,精力的に調査,検討を進めております。 一方で,公契約に関する条例について,他都市の事例も極めて少ないうえ,議会で継続審議となっている都市もございます。また,関係法令との整合性や条例の実効性が確保できるかなどの課題の検証も必要であります。条例案については,これらのことを踏まえ,拙速とならないよう,今年度は庁内であらゆる視点からしっかりと検討を深めてまいります。そのうえで学識経験者や業界,労働界をはじめ幅広く市民の皆様の御意見をお聴きし,全国のモデルとなるような条例を目指してまいります。なお,ダンピング対策の強化や市内業者への受注の促進につきましては,条例の制定を待つことなく,本年6月に最低制限価格の適用範囲の大幅な拡大を行うなど徹底的な入札制度改革を実施しており,引き続きしっかりと取り組んでまいります。 次に,雇用対策についてでございます。若者を取り巻く厳しい雇用環境を改善することは,京都はもとより日本の未来にとって極めて大切な課題であります。本市がこの課題に対応するため,この間雇用対策担当部門の体制強化を図るとともに,国,府と緊密な連携を図るとともに,本市独自の取組といたしまして,「京都市フルカバー学生等就職支援センター」を設置し,昨年度に引き続き,正社員としての就職に向け,大学4回生を対象としたセミナーやカウンセリングなどを通して支援を行っております。また,若者と京都の企業との出会いの場を創出するため,WEBサイト「京のまち企業訪問」を開設,運営しておりますが,改善を加えまして,現在2,100社を上回る京都企業の情報を発信し,1日平均5,000件のアクセスがあります。このWEBサイトに登録する企業の合同企業説明会の開催や,個別の大学での企業説明会の開催も予定いたしております。さらに,オール京都体制の支援といたしまして,本年5月に,全ての経済団体や行政機関などが参画する「京都府中小企業人材確保・定着支援事業協議会」を設立し,セミナーや大学との交流会を開催するなど,大学生等の京都企業への就職と定着を推進しております。 次に,緊急雇用対策事業についてでございますが,平成20年度から,いわゆるつなぎ雇用の創出ということにより,雇用情勢の改善に寄与してきたものと認識いたしております。引き続き国に対して事業の実施延長やその財源の積増し,更には新たな事業の創設を積極的に働き掛けているところでございます。今後につきましては,依然として厳しい雇用情勢にかんがみ,緊急雇用対策事業が終了した場合にも,国や京都府,経済団体などの関係機関と一体となりまして,これまでの実績を生かした雇用対策の展開を検討してまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 最初に,中小企業振興条例の制定についてでございます。地域経済の担い手である中小企業の活性化は,京都産業の振興にとって大変重要であります。こうした認識の下,本市では,製造業を中心とした本市の産業振興の方向性を示した「京都市新価値創造ビジョン」に中小企業憲章の理念を盛り込み,オール京都体制で中小企業振興に向けた様々な取組を展開しております。とりわけ,厳しい経営環境に置かれている多くの中小企業を支えるため,府市協調の制度融資により,きめ細やかな金融支援に取り組むとともに,今年度から新たな予算を確保し,京都商工会議所と一体となった,かつ新たに10名の経営支援員を配置するなど,充実した経営支援体制の構築や知恵産業の創出を支援する補助制度の創設など,経営改善から新商品開発や販路開拓まで,幅広い分野において経営者の意欲やニーズに応える様々な支援策を実施しており,極めて高い評価をいただいているところであります。このような状況の中,更に条例を制定することの必要性につきましては,他都市における条例制定の効果,事業者の声等を踏まえた十分な検討が必要であると考えております。 次に,商店街振興についてでございます。まず空き店舗の活用推進でございますが,本市では,これまでから,福祉施設やコミュニティスペース,交通観光案内所の設置など,商店街が空き店舗を活用して実施する幅広い事業に対して,ソフト,ハード両面から積極的に支援してまいりました。また今年度から,本市との連携により京都商工会議所の中小企業経営支援センターの機能強化を図ることで,空き店舗に出店する事業者への一層きめ細やかな経営相談等を実施しております。 次に,京都市商業集積ガイドプランについてでございます。「大型店に関わる需給調整は行わない」という国の方針の下で,本市では,「京都市土地利用の調整に係るまちづくりに関する条例」に定めるまちづくりに関する方針の一つとして,全国に先駆け「京都市商業集積ガイドプラン」を策定いたしました。このガイドプランでは,市内を七つのゾーンに区分し,地域特性に応じた店舗の立地を誘導し,ガイドプランに適合した土地利用を促してまいりました。他府県において,大型店の出店により商店街が疲弊する例も見受けられる中,本市においては,「京都市商業集積ガイドプラン」が商業施設の適正な配置に大きな効果を上げてきたと考えております。これを撤回することは,無秩序な商業開発を招きかねないと考えておりますが,プラン策定後10年以上が経過しており,大阪ウメキタをはじめとする都心部における都市間競争の激化や京都近郊の商業の動向など,社会経済情勢の変化には充分注視してまいります。今後とも,「京都市商業集積ガイドプラン」及び京都市土地利用の調整にかかわるまちづくりに関する条例を適正に運用し,京都にふさわしい魅力ある商業集積の形成を目指してまいります。 次に,京北地域のまちづくりについてでございます。大阪市に匹敵する面積を有する自然豊かな京北地域が本市へ合併し,7年が経過します。この間,地域の皆様と共に上水道の全面整備,道の駅「ウッディー京北」の整備,木質ペレット製造施設の導入支援,京北一周トレイルコースの整備,葉とうがらし京唐菜等の新京野菜の導入,大豆の里京北拠点施設整備など,多様な取組を進めてまいりました。さらに来年度には地域の悲願である栗尾トンネルも開通いたします。 このように京北地域の活性化は大きく前進してきましたが,一方で山間地域共通の課題として,人口の減少や高齢化の進展など憂慮すべき状況があるのも事実であります。そうした危機意識のもと,京北地域では,「花降る里けいほくプロジェクト」など,地域が主体となった様々なまちづくりの取組が積極的に展開されています。その一つとして,閉校となった黒田,細野,宇津の三つの元小学校跡地を地域住民主体の活性化拠点として活用するべく,京北自治振興会が中心となり京北地域元小学校活用検討委員会が設置され,3年6箇月にわたる熱心な御議論の成果として,本年7月,門川市長に3校の活用案が提出されたところであります。本市といたしましては,今年度創設した右京区役所の区民提案型まちづくり支援制度による地域の取組への助成をはじめ,関係局が連携し,地域の活性化に向けた自主的なまちづくりを支援してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 白須産業観光局長。 〔白須産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(白須正) 金融円滑化法についてでございます。金融機関が貸付条件の変更等にできる限り応じるよう定めた中小企業金融円滑化法につきましては,条件変更等の実行率が9割を超える水準となっており,中小企業者の資金繰りに大きな役割を果たしたと考えております。しかしながら,経営状況に改善が見られず,条件変更を繰り返す中小企業者が増加するなど,必ずしも企業の体質強化につながっていない側面もあり,同法の終了後は,金融支援に加えて経営支援がより重要になってくると認識しております。 こうした中,本市では,国に対して,継続的な専門家派遣など同法終了後における中小企業への支援の充実について要望を行うとともに,京都府や京都商工会議所との緊密な連携の下,中小企業が抱える様々な経営課題の解決に向けた取組を進めてまいります。なお,貸渋り,貸しはがしにつきましては,これまでから地元金融機関に対して,中小企業の資金需要に対するきめ細やかな対応を要望しているところです。各金融機関共に,同法終了後も,中小企業者の事業継続を積極的に支援する姿勢を示していただいておりますが,引き続き円滑な資金供給が行われるよう努めてまいります。 次に,林業振興についてでございます。生活様式の変化などによる木材価格の低迷や林業従事者の高齢化と後継者不足など,林業を取り巻く状況には大変厳しいものがございます。このような中,市内産木材の需要拡大対策として,京都で育った木材であることを表示する「みやこ杣木認証制度」の創設,住宅をリフォームする際に市内産木材を提供する取組,木材に関する情報発信を行う「京の山杣人工房」の設置などにより,市内産木材の普及,拡大を図るとともに,率先して学校施設や市庁舎等の公共施設への使用に努めてまいりました。今後は,これらの対策に加えまして,インターネットを活用して市内産木材の情報を積極的に発信するとともに,北山丸太については,高級家具への活用等新しい用途の開発に取り組むなど,市内産木材の更なる需要拡大を図ってまいります。また,雇用対策事業は今年度で終了となる予定ですが,森林整備や担い手支援など,北山地域をはじめとした地域林業の活性化に不可欠な施策については,今後とも検討を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,とがし豊議員に発言を許します。とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 左京区選出のとがし豊です。加藤あい議員西村善美議員に続き日本共産党市会議員団を代表して質問を行います。 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による原発災害発生から1年7箇月近くたとうとしています。政府は事故の収束を宣言しましたが,福島第一原発は今なお危険な状態にあります。放射能は多くの国民を苦しめ,震災復興の最大の障害となっています。私は今年の7月,原発から60キロメートル離れた福島県伊達市を訪問しました。全村避難となった飯館村の隣町です。市議会議長は,「60キロメートル離れたこの伊達市も原発被災地になってしまった」と痛切に語っておられました。事故の直後は,原発から逃れる多くの避難者を受け入れ,住民挙げて水や握り飯を提供していたそうです。実はその瞬間が,もっとも放射線量が高く,本当であれば支援活動どころか直ちに避難しなければいけなかったと後から知らされたそうです。町内会長宅にヨウ素剤が届いたのは事故の2週間後。国の情報隠しによって無数の市民の命と健康に重大な脅威をもたらしています。 伊達市では,無策な国を尻目に早くから官民挙げた除染に取り組まれていますが,子育て世代が次々と町を去り,厳しい状況です。農家の方からも直接お話を伺いました。放射能の除染に取り組み,どの作物をどう育てたら放射能汚染が出ないか研究し,収穫後の放射能検査は祈るような思いで受けているそうです。直売所には全ての品について放射能検査結果が張り出され,消費者の安心のための最大限の配慮がされていますが,放射能不検出の農作物でも売上げが半減しているとのことでした。京都市役所は大飯原発まで60キロメートル。伊達市で起こっている現実は,次の瞬間には私たちの現実になり得るものと痛感しました。あらゆる防災対策の取組の大前提として,危険な大飯原発を直ちに止め,原発を即時ゼロにする立場に立つことを求めますが,いかがですか。 今回,原子炉から漏れた放射能は1パーセントから2パーセントであるにもかかわらず,これだけの深刻な被害です。市長が今年の4月に策定した原子力発電所事故対応暫定計画では,放射能汚染が30キロメートル圏内にとどまるという想定をされていますが,この線引きは今回の事故の被害の実相を無視した余りにも甘いものであり,新たな安全神話と言わざるを得ません。市長,原発事故対応暫定計画に示された「放射能汚染が30キロメートル圏内にとどまる」という新たな安全神話を捨て,ひとたび原発事故が起これば京都市全域が汚染されるという被害想定に改め,暫定計画や今後正式改正する京都市地域防災計画そのものを抜本的に見直すべきです。いかがですか。 実際に事故が起こった場合,市民の放射線被曝を最小限にとどめるため,現在の計画について少なくとも4点の補強を求めます。第一に,全市民を対象に放射線防護の基礎的な知識の啓発を日常から行う。第二に,平常時における京都市全域の放射線量を詳細に把握しつつ,事故が発生したときには汚染マップをすぐに作成,公表し,住民の被曝を最小化する仕組みを確立する。第三に,滋賀県で検討されているように,京都市においても全市民を対象にヨウ素剤備蓄を行い,緊急時に速やかに全住民に配布できる体制を確保する。第四に,放射能汚染が起こった場合,農産物については全品検査の実施とその結果の公表を通じて,消費者に判断材料を提供する体制を直ちに構築することです。実害と風評被害に境目はないということを肝に銘じ,迅速な対応によって京都市民の被曝を最小化する計画となるように求めます。 次に,再生可能エネルギー普及と節電,省エネルギーの推進についてお聞きします。今年7月から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まりました。例えば,太陽光発電であれば,通常の電気料金の2倍の金額で電力会社が20年間にわたって買い続けてくれる仕組みです。この制度によって,潮目は一挙に変わり,各地でメガソーラー発電などの取組が加速しました。京都市においては,中規模,小規模の再生可能エネルギーをどう開拓してくかが鍵を握ります。固定価格買取制度を徹底的に活用し,京都市自身もモデルを示し,市民自らの手で再生可能エネルギーの活用や省エネ推進に取り組む流れを育ていくことが大事です。京都市自身が所有する土地や施設における再生可能エネルギーの導入の可能性調査を行い,公表することを求めるとともに,4点について具体的に提案します。 第一の提案は,太陽光,太陽熱エネルギーの活用です。京都府の太陽光発電ポテンシャル調査では,戸建住宅に続いて,中規模共同住宅や学校の建物における可能性が高いと指摘しています。京都市は,各小中学校における太陽光発電の規模を大幅に増強するとともに,市営住宅など京都市の公有地,施設において率先して導入すべきです。太陽熱利用についても京都市自身が率先して導入し,内外へ積極的にアピールすることを求めます。既に京都市内の小中学校では3キロワット程度の太陽光パネルの設置に続き,10キロワット程度の太陽光パネルも徐々に普及されていますが,この取組を一挙に加速し,あらゆる可能性をくみ尽くすことを提案します。市営住宅における取組は,既存の中規模共同住宅における再生可能エネルギー導入の課題やコストなどを明らかにし,民間の共同住宅における再生可能エネルギーを普及する力となります。 第二の提案は,木質バイオマスの活用です。三方を豊な森林に囲まれた京都市において,森林管理のために間伐材を活用した木質ペレット製造工場の建設など,既に木質バイオマス活用の足掛かりが生まれています。ストーブやボイラーの燃料として使うといいますが,利用拡大はなかなか険しい道のりとなっています。京都市としても木質ペレットなどの利用拡大策として,熱供給も行う木質バイオマス発電所を設置してはどうでしょうか。今年いっぱいで伏見区石田の温水プールが廃止されようとしていますが,このプールに併設されている図書館や福祉施設については存続の方向であり,木質ペレットを燃料にするボイラーで温水の提供や空調を行う方向とお聞きしております。このボイラーをもう少し規模の大きなものにし,同時に発電もできるようにしてはどうでしょうか。課題の多いことは確かですが,電気は売却するとともに,その廃熱は図書館,福祉施設だけではなく温水プールの維持にも使うことが可能になります。もちろんプールの改修など追加の費用は発生しますが,間伐材などの利用が拡大すれば,京都を囲む森林整備を進め,新たな雇用も生み出すことにもつながるなどの効果も期待できます。何より一定の規模で木質ペレットを安定的に購入するルートが生まれることが,木質ペレット生産を安定させ,福祉施設などの大量の熱需要をもつ施設での木質ペレット炊ボイラー普及の土台となるのではないでしょうか。 第三の提案は,小水力発電の徹底的な活用,普及です。関西電力は京都市内において蹴上水力発電所など7カ所の小水力発電所を運用しており,多くが100年以上にわたり発電を続け,今も1年間に約4,300万キロワットアワー以上,実に1万数千世帯分相当する電力を供給し続けています。しかしながら,市内最大の出力を持つ蹴上水力発電所は2基ある発電機のうち1基しか稼働しない状況にあります。京都市としても,関西電力に対し,蹴上水力発電所はじめ市内における水力発電所をフル稼働し,ベース電力の底上げを図ることを求めるべきです。また,京都市が行った小水力発電の可能性調査では,左京区市原や修学院音羽川など5箇所の有力地点が明らかになっており,市と市民の共同出資での発電事業を呼び掛けてはどうでしょうか。 第四の提案は,節電,省エネの取組です。政府は,9月14日に決定したエネルギー環境戦略で,一昨年との比較で3年後に2パーセントの節電,18年先になってようやく10パーセントの節電という消極的な目標を示しました。政府に対し,節電,省エネ政策をより積極的なものに改めるように働き掛けるとともに,京都市自身が,節電,省エネ推進の先頭に立つことを求めます。この夏,関西電力管内の市民は,一昨年と比べ11.1パーセントの節電に成功し,原発なしで夏を乗り切ることができることを証明しました。ところが,政府の打ち出したエネルギー環境戦略はこの節電の勢いを止め,大間,島根,東通りの三つの原発の工事再開を認め,これから40年間も新規の原発を動し続けるというものであり,新たな装いを凝らした原発推進策にほかなりません。再生可能エネルギーの普及に匹敵する規模で節電,省エネを徹底する戦略をとることで,原発ゼロ達成へ着実に進んでいるドイツからもっと謙虚に学ぶよう,国に政策転換を迫らなければなりません。 次に,防災と福祉の町づくりについてお聞きします。東日本大震災から1年間で1,632人の方が震災関連死をされました。お亡くなりになった方の95パーセントが60歳以上,87パーセントが70歳以上。一番の原因が避難所生活の肉体的,精神的疲労とのことです。京都市においても,福祉避難所を確保し震災関連死を何とか避けようと具体的な協議が始まりました。とはいえ,現実には京都市内に入所可能な介護などの施設は92施設しかなく,入所を希望しながらも入れない6,800人の待機者がおられます。実際の受入れはかなり厳しいものがあります。現在の待機者数に見合った規模で介護など福祉関連の入所施設の増設を進め,災害時の福祉的な受皿としても拡充していくことを求めますが,いかがですか。 また,東日本大震災では,住民が避難する場所,瓦れき置場,仮設住宅を設置する場所が不足するなど,行政自身が柔軟に転用可能な施設,土地を持っておく必要性が示されました。京都市地域防災計画では,第三次地震被害想定の避難者数から避難所などを確保するとしていますが,現在指定されている施設の収容可能人数だけでは約14万人分の避難所が不足します。震災から5箇月以内に建設するという3万5,000棟の仮設住宅も一体どこに建てるのでしょうか。避難所だけでなく,まちの復興に欠かせない仮設住宅や瓦れき置場の用地確保も困難が予想されます。資産の有効活用に名を借りた公有地,公共施設の原則売却方針は撤回し,防災の用途のために確保しておくべきと考えますが,いかがですか。 市長,左京区民は1万筆を越える署名をあなたの元へ届け,左京区役所跡地の売却を思いとどまり,支所機能を含む公的施設として有効活用を求めました。旧左京区役所は,京都市の近代化遺産に指定されている歴史的な建物ですが,数千万円で耐震補強ができます。旧左京区役所の跡地についても,防災という観点から改めて活用方法を検討し直すべきですが,いかがですか。 次に,雨に強いまちづくりについてお聞きします。横浜市では,老朽化した下水道管の付替え工事や公園,河川の整備などで,降った雨を地下にしみ込ませる雨水浸透ますを積極的に導入しています。雨水浸透ますがある程度設置されたところでは,下水道に流れ込む雨水の量が5パーセントから10パーセント程度減り,下水道管の排水能力に余裕が生まれています。一般家庭への雨水浸透ます設置にも力を入れており,当初は,現在の京都市同様に助成制度を作ってもうまくいかず苦労したそうですが,昨年,助成額の増額と設置個数の制限を外すことで一挙に49件に実績が増えました。雨水浸透ますには,京都の文化を支える地下水を育て,水害の被害を減らすという一石二鳥の効果があります。公園,道路,河川などあらゆる京都市の土木事業において徹底して雨水浸透ますの設置に取り組むこと,一般家庭への設置助成については設置個数の制限をなくし,助成額の引上げなどの改善を求めますが,いかがですか。 次に,ごみを焼却した灰を高温で溶かす施設である焼却灰溶融施設についてお聞きします。この施設は,2009年12月に工事を終え,試運転を開始しました。ところが,排水から基準の42倍のダイオキシン類が検出され,炉内で水蒸気爆発のような現象が発生し,熱水で作業員がやけどを負うなど,構造的欠陥によって当初の設計図は完全に破綻しました。住友重機械工業は,今ごろになって30もの機器を交換,改修すると言いますが,前処理工程は湿式から乾式に変更,二次燃焼室も作り直しなど,まさにこれから1年間掛けて一からやり直すというのです。もはや,まともな契約ではありません。住友重機械工業との契約破棄を求めますが,いかがですか。 環境省は,2010年3月,地球温暖化対策や地方自治体の財政負担を軽減する観点から,「溶融施設を稼動停止しても補助金の返還を求めない」という異例の通達を出し,次々と運転停止に踏み切る自治体が増えています。環境省による全国自治体への焼却灰溶融施設押し付け政策の破綻と言っても過言ではありません。京都市の計画では,焼却灰溶融施設がない場合でも,最終処分場の寿命はこれから50年以上確保される見通しです。分別徹底やリサイクルに関連する法令を抜本的に改正すれば,もっとごみを減らすことはできますし,それこそがごみ減量の確実で経済的な選択ではないでしょうか。全国的に破綻の相次ぐ焼却灰溶融施設建設方針からの撤退し,ごみ減量に本腰を入れるべきです。 次に,京都会館再整備についてです。市長は,現在,京都会館の横を流れる琵琶湖疏水一帯をユネスコ世界遺産に追加登録するように政府に予算要望しておられます。この世界遺産候補を審査するのがイコモスという国際機関であることはよく御存知のことと思います。そのイコモス20世紀遺産についての国際学術委員会が,今回の京都会館建替え計画が,世界的な文化遺産である京都会館の美と調和を破壊するものであるとして遺産危機警告を発令したのです。これは世界で3例目であり,前例であるスウェーデン・ストックホルム市の市立図書館,香港の旧中央政庁舎においては,いずれも警告を正面から受け止め計画を中断しています。もし解体を強行すれば,警告を無視した世界初の恥ずべき実績となります。京都市が,イコモスの国際学術委員会の意見書を軽視する発言を繰り返す中,イコモスは国内委員会に京都会館再整備問題についての専門委員会を設置する新たな措置に踏み切りました。市長は,外観や構造部分に手が掛かる今月中旬までにイコモスに経過の説明し,理解を求めると言いますが,説明で済まされる問題ではありません。 京都市の実施した京都会館機能改善可能性調査の報告書でも,「現在,解体を免れている京都会館の外観と頑丈な構造部分を残しながら内部を大改装すれば,60億円程度で市民の要望に応えた市民ホールとして再生させることができる」としているのですから,計画を見直すのが当然であります。市長はイコモスの遺産危機警告を本当に重く受け止めているのですか。遺産危機警告の発令を重く受け止めるならば,京都会館の解体工事を直ちに凍結し,外観や構造部分を残して行う当初の改修計画に差し戻されることを求めます。 最後に,新景観政策の高さ規制についてお聞きします。今年の五山の送り火でも,「大きい建物が建って,また大文字が見えにくくなった,内の家から見えなくなってしまった」という会話が市民の間で多く交わされました。新景観政策は,景観の破壊に一定の歯止めを掛けていますが,しかし,今でも少なくない貴重な景観が失われています。だからこそ,壊されてしまった京都の景観を何とか再生したいという思いから,市民も業者も苦労しながら新景観政策を守っているのです。2007年,新景観政策を導入した当時の市長は,「50年後,100年後も光り輝く京都を目指して」,「時を超え光り輝く景観づくり」との高い志を語っていましたが,わずか数年で方向転換してしまっては何のための苦労だったのかと言わざるを得ません。市長は,京都会館の建替えに続き,島津三条工場と山ノ内浄水場跡地でも地区計画で31メートルへの高さ規制の緩和を進めようとしています。三条工場の建替えでは,規制を守るように求めるべき京都市が,高さ規制の緩和を島津に持ち込みました。同じように,世界的な高級ホテルなどにも高さ規制緩和を認めるとしていることも報じられています。市民や業者にこと細かに指導する京都市が,公共事業や一部の事業者だけは特別扱いして高さ規制緩和を行うなど,とてもおかしな話ではありませんか。市長,一連の高さ規制緩和などの新景観政策への逆行は撤回し,制定した当時の初心に帰るべきです。いかがですか。 以上で第一質問を終わります。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) とがし豊議員の御質問にお答えいたします。 まず,エネルギー政策についてでございます。本市では,これまでから京都議定書誕生の地として,再生可能エネルギーの普及拡大に全国に先駆けて積極的に取り組んでおり,本市施設に対しても太陽光発電設備や太陽熱利用設備を率先して導入してまいりました。既に平成22年度には,市内全域を対象に再生可能エネルギーの導入可能性調査を実施し,この結果を基に,地球温暖化対策計画において本市の地域特性を考慮した再生可能エネルギーの導入目標等を設定したところであり,積極的に取組を進めております。小水力発電についてもこの調査結果を踏まえ,実現に向けて検討を進めております。 次に,木質ペレットを燃料とするバイオマス発電所の設置は,採算性の観点から困難でありますが,火力発電に京都産木質ペレットを使用するよう既に関西電力に要請しており,現在,府,市,関西電力の三者で協議を進めているところであります。今後とも,関西電力に対しましては,機会あるごとに,あらゆる再生可能エネルギーの積極的な普及拡大を行うよう求めてまいります。 節電,省エネの推進については,今年の夏の節電におきましては,京都市内では,関西全体を上回る14.2パーセントの削減を達成するなど,本市の率先実行はもとより,家庭や事業所での御努力に加え,300箇所を超えるクールスポットの利用など,地域のきずなや家族の触れ合いを大切にする京都ならではの取組を進めてきた大きな成果であると誇りに思っております。今後とも,市民の皆様と高い志と行動を積極的に促進し,市民共同発電など資源エネルギーの創出と省エネの取組を推進し,持続可能なエネルギー社会の実現を目指してまいります。 次に,100年後も光り輝く京都を目指す京都ならではの景観政策についてでございます。所信は一貫いたしております。新景観政策の高さ規制は,三山の山並みや歴史的建造物等との調和を図る景観形成の観点,良好な住環境の整備の観点,さらには,商業,ものづくり,学術,文化,医療などの都市機能の充実の観点,この三つの観点から,それぞれの市街地の特性に応じて定めております。あわせて,新景観政策実施当初から,一律的な運用では都市の硬直化を招くため,周辺の景観や住環境と調和する範囲で高さの基準を超えることができる制度を設けております。その一つとして,街区単位で市民生活の質の向上や都市の発展に役立つことが明確である将来ビジョンが示されている地域では,地区計画により,高さを含めたまちづくりのルールをしっかりと定めることができることといたしております。例えば,この度の島津製作所の地区計画は,街区のほぼ全周にわたる幅広い緑化や佐井通の歩行者用通路の設置,地域住民の避難場所にも活用できる三条通に面した1,600平米もの広場の新設により,周辺地域の景観も含めた環境整備にも大きく貢献するとともに,ものづくり機能の拡充を図りつつ,周辺市街地と調和する建築物の高さを定めた計画としており,新景観政策の趣旨に沿ったものであると認識いたしております。今後も新景観政策について,より一層市民の皆様にしっかりとした説明をするとともに,洗練された風格のある歴史都市として,景観をしっかりと守りながら活力ある都市づくりに努めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 原子力防災についてでございます。京都市では,万一大飯原発で事故が発生した場合に備え,全国に先駆けて原子力発電所事故対応暫定計画を本年3月に策定し,市民への啓発はもとより,大気,水道水,農産物等の放射線モニタリングの実施や避難マニュアルの作成,原子力災害を想定した防災訓練等を実施してまいりました。今後,国の原子力規制委員会から示される原子力災害対策指針や原発ごとの拡散予測結果等を踏まえて,地域防災計画原子力災害対策編を策定してまいります。原子力災害対策を重点的に実施すべき区域の設定や安定ヨウ素剤の備蓄等につきましては,本年度新たに設置いたしました防災会議専門委員会原子力部会において,専門家から最新の科学的知見に基づいた御意見をいただき,計画に反映させてまいります。大飯原発につきましては,原子力規制委員会により再審査を早急に行うよう,関西広域連合から本日,国に申し入れたところでございますが,中長期的には原発に依存しない社会の構築を目指し,引き続き取り組んでまいります。 次に,資産の有効活用についてでございます。本市が保有する土地等の資産で,本市自ら利用する必要がなくなったものにつきましては,売却や貸付けを積極的に進め,社会全体で有効に活用していくことが,地域の活性化や福祉の充実などのための財源の確保に大きく寄与するものと考えております。このため,本年6月に策定した京都市資産有効活用基本方針に基づき,売却のみならず,民間事業者への貸付けによる施設整備,貴重な学校跡地の活用など幅広い方法を用い,資産の有効活用を推進していくこととしております。加えて,防災の観点からも資産の有効活用を図るため,京都市地域防災計画に基づき,約600箇所に上る市有地のみならず民有地等も含めたオープンスペースの把握に努めており,災害時には,それらのスペースを避難場所や防災関係機関の活動拠点などに利用してまいります。また左京区役所跡地については,京都大学から,世界最高水準の教育研究を展開する新たな大学院の設置計画が示されており,大学のまち・京都の推進や地域の発展に大きく寄与するものとして,今年度内に京都大学へ譲渡したいと考えております。なお,隣接の小学校が避難所に,また京都大学のグラウンドが広域避難場所に指定されていることなどから,防災上,譲渡は支障はないものと認識しております。以上でございます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 雨水浸透ますの設置についてでございます。雨水浸透ますの設置については,浸水被害の軽減や地下水の保全のために有効な施設の一つであると考えております。本市におきましては,平成15年3月に京都を中心に開催された第3回世界水フォーラムの成果を踏まえ,本市の水問題解決に向けて継続的な取組を推進するため,京都市水共生プランを策定し,透水性舗装など雨水流出抑制に取り組んでおります。雨水浸透ますもその一つであり,平成23年度末で,公園,学校などの公共施設や市営住宅において,既に約480箇所設置しております。また平成23年7月から,一般家庭への浸透ますの設置助成を実施しておりますが,より多くの市民の皆様に活用していただけるように,引き続き積極的なPRに努めるとともに,制度の見直しについても既に検討しているところでございます。今後も健全な水循環の再生を図るため,雨水の流出を抑制するなど,浸水被害の軽減に努めてまいります。 ○議長(大西均) 桐澤環境政策局長。 〔桐澤環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(桐澤孝男) 焼却灰溶融施設についてでございます。住友重機械工業株式会社は,施設全体の総点検を実施して,トラブルの原因を徹底的に究明し,7月31日にその結果及び対策案を示すとともに,引渡し期限を平成25年8月末と確約したところであり,現在その履行に向け,全力を挙げて対策工事を行っております。本市にとって唯一の最終処分場である東部山間埋立処分地を,今後更に長く活用していくためには,徹底したごみ減量の取組に加えまして,この焼却灰溶融施設の稼働が必要不可欠であり,安心安全な施設として完成させてまいります。なお,工事の遅延は住友重工の責任であり,遅延に伴う損害金として,1日当たり約200万円,9月末時点で約16億4,000万円を収入いたしております。以上でございます。 ○議長(大西均) 西出文化市民局長。 〔西出文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(西出義幸) 京都会館の再整備についてでございます。京都会館再整備の基本設計につきましては,現代の日本を代表する建築家のお一人である香山壽夫夫氏に担当していただくとともに,京都会館の設計者である前川国男氏が設立した設計事務所の所長をはじめ,専門家により構成された建物価値継承に係る検討委員会を設置して,慎重な検討のうえで取りまとめたものでございます。現在の再整備案は,京都会館の建物価値を継承しつつ,公共ホールとしての機能再生と安全性の確保を図るもので,多くの市民や利用者の皆様の御期待に応えるために,現時点で考え得る最適な計画であり,着実に取組を進めてまいります。なお,御指摘の遺産警告は,イコモス国内委員会からの要請を受けて正式に出されたものではなく,現在,改めて国内委員会との間で,解体工事と並行して調査の実施などについて協議をしております。再整備案に対する理解を得られるよう,引き続き真摯に対応してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 福祉施設の増設についてでございます。本市におきましては,特別養護老人ホーム,介護老人保健施設及び認知高齢者グループホームにつきまして,これまでから京都市民長寿すこやかプランに基づき,計画的に整備を図っており,平成23年度末時点で合わせて約1万人分を確保しております。さらに,平成24年度から26年度までの第5期プランにおきましては,3年間で約1,800人分の整備を進めることとしております。また,災害発生時の避難生活において,福祉サービスの提供等の配慮が必要な高齢者や障害のある方等を受け入れる福祉避難所につきましては,既に107箇所を指定したところであり,今後,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画に基づき,平成27年度までに200箇所を確保してまいります。今後とも,介護保険施設の計画的な整備に努めるとともに,福祉避難所としても御協力いただけるよう各施設や事業者の皆様に積極的に働き掛けてまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) まず京都会館についてです。世界遺産候補の審査を行うイコモスからの警告も,日本建築学会や京都弁護士会などの専門家機関,そして何より多くの署名を集め,嘆願した市民の声も受け止めず,京都会館の解体を強行することは許せません。元々京都会館は,解体,建替えではなく,1年程度で60億円程度の費用で音響や客席の改善,エレベーターやトイレの増設などを行うというのが京都市の計画だったのではありませんか。当初の計画に差し戻すべきです。 焼却灰溶融施設は,高知市に続き,東京都でも5基の溶融炉の廃止に踏み切る方向と言われています。もはや時代遅れであり,京都市においても中止すべきであることを指摘し,質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時41分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~             議長    大西 均             署名議員  天方浩之             同     中島拓哉 △(イメージ)陳情文書表「受理番号22」「小中一貫校の開校に向けた保護者の意見聴取」...